【独り歩きする記事】
猪瀬都知事がニューヨークタイムズのインタビューでオリンピック候補として競い合っているマドリードとイスタンブールと東京を比較した上に、『イスラム諸国で人々が共有しているのは唯一、アラーだけで互いにけんかばかりしている』とコメントしたというニュースが飛び交っています。
この記事を受けて日本の報道機関が猪瀬都知事に質問したところ『インタビューの文脈と異なる記事が出たことは非常に残念だ』と発言、真意ではないと遺憾の意を表明しています
しかし、IOCの規定では他の候補地についてコメントすることは禁じられているとのこと。なおかつ、「宗教問題に対する偏見」と捉えられても止むをえない発言は国を超えた問題となっておかしくないものです。
トルコが怒るのは当然のこととして、IOCもその姿勢に疑問を呈して当たり前です。しかし、それ以上にイスラム教徒全員が「侮辱された」と怒るはず。
いくら真意ではないと後追いでコメントしたとしても、すべて“言い訳”としか捉えられないでしょう。
どうして? ジャーナリスト出身だけにジャーナリズムの怖さは熟知しているはずなのに、なぜこんな発言をしてしまったのでしょう。「記事は独り歩きする」という定理を忘れてしまったのでしょうか。数千語の記事が権力を機能停止に陥らせたり、反対勢力が想定以上の反論や武力行使に走るという歴史も忘れてしまったのでしょうか。
真意がどうであれ、出てしまったものは止められません。独り歩きするんですから。IOCの決定に関しても大きなデメリットになるでしょう。ハッキリ言って印象が悪過ぎます。
こうなったら、出来るだけ早い段階で、たとえば、有楽町のプレスクラブにジャーナリストを集め、もう一度真意はどこにあるのかを発表しないと。もちろんニューヨークタイムズからの反論も出るでしょう。その時はすべて論破しないと、結局「確たる信念のない“言い訳”」としか思われず、今以上に問題が複雑化してしまうはずです。
海外メディアは日本のそれのように“なあなあで行間を読む”なんて甘くはないはず。きちんと解決しないと、ハッキリ言って「ここ一番の大勝負」になると確信しています。
ちなみに、これが原因で東京オリンピックが無くなってしまうと、国内でも“政治的に二度と浮上できない”立場に立たされることを覚悟していただきたいものです。
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