∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

業界第三位の出版取次が・・・

楽天傘下に】


 今は昔、書籍や雑誌などの出版物は出版社から書店への直販(とはいっても委託販売ですが)が流通の常識でした。しかし、書店が増えるにつれ、出版社からのきめ細かな対応も難しくなるし、各出版社が訪れることになる書店側も対応が煩雑になりました。そんな状況の中で大手出版社の肝いりで作られたのが“出版取次”という流通システムでした。
 出版社も直接セールスはするものの、それと並行して、取次が新刊書を紹介し、書店の生の声を集め、傾向を掴み、各書店にとって最適な出版物を出荷するのが当初のスタイルでしたが、販売データの蓄積や書店別の実績把握などが取次に集中することになり、それと共に取次の力が強くなり、発行部数や展開書店、はては新刊雑誌の企画まで取次の発言力がどんどん拡大していくようになりました。
 こうやって取次が力をつけることで出版界が急拡大していったのも事実です。たとえ、取次が各書店に対して注文が無くても自動的に書籍や雑誌を送りつけ、書店は梱包を解かないまま返本するような悪習が慣例化しても、出版流通には欠かせない存在であることには違いはありません。


 そんな取次のなかで関西方面の出版流通で絶大な力を誇っていた大阪屋が、あのネット通販プラットフォームの雄、楽天に買収されることになったと日経新聞が伝えています。


 時代はそこまで来たか、というのが率直な感想です。本が売れない。書店が廃業する。休刊誌が増え、出版物が激減するという流れの中で取次の存在も危ういものになっていたのでしょう。
 今回の買収で、楽天で買い物をすれば大阪屋と取引のある1200の書店でも商品が受け取れるようになり、消費者にとってはメリットも増えるというもの。時代の要請といえばそれまででしょう。 しかし、取次までアブナイことが現実問題として浮上してきたことで、「本が危ない」という事実を改めて確認することに。時代は変わるものと「ひと言」では済ますことができない末期的な危機が迫ってきているのではと大袈裟に考えてしまいました。