【ふたつの場合】
昨夜、ラジオの深夜放送をかけていたら、スタンダードナンバーのYou are my sunshineが聞えてきました。
ナレーションをきちんと聞いていなかったのでウィキペディアで調べたところ、この曲は1940年にジミー・デイビスが歌い世界初のポピュラーソング・レコードとして発売されたもの。その後、1966年、彼がアメリカ・ルイジアナ州知事選挙に出馬した際には選挙運動歌として採用されたものとのこと。しかも1977年にはルイジアナ州の州歌に採用され、現在も歌い継がれている曲です。
実は僕、この曲は恋の歌だと思い込んでいました。しかし、選挙運動にも使われたなんて、ちょっと驚きです。「You」イコール「自分」という自画自賛的展開には呆れるばかりですが。
それにしても、こんな素敵な曲を歌いながら選挙運動をされたら、そりゃ当選するでしょう。ご自身の力量より楽曲のパワーで選挙に勝ったようなものです。
それはそれとして。先日の都知事選でNHKの朝ドラ『あまちゃん』の主題歌が著作権者の了解なしで勝手に使われ、楽曲関係者が苦言を呈したという出来事がありました。選挙用に使う場合は著作権料は発生しないという法律を拡大解釈して使ったとのことですが……。
片や自分が歌った曲。片や勝手に使った曲。意識の違いというか、志しの違いというか。自分を表現してくれる曲を使って州知事になったジミー・デイビスと、人気が高くて注目度も上がるはずだから使っちゃおうと無邪気に考えてしまった都議選候補たち。
無名であってもオリジナル曲を運動用に使ったのだったらまだしも、音楽関係者が知恵を絞って創り出したものを「ダマテン」で使うなんて。これでは候補者の“人となり”もその程度のものと言われてもしかたないでしょう。
都議選関係者の皆さん、この曲を聞いて、少しは反省されてはいかがでしょう。
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