∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

ジャーナリスト免許更新

【記者25万人】


 先日、中国政府が「全国の新聞やテレビ、通信社、雑誌などの記者25万人にマルクス主義などを学ぶ研修を義務付け、来年1月から2月にかけて、統一の免許更新試験を実施する」と発表したというニュースが流れました。
 ニュース解説を読むと、習近平国家主席が「思想宣伝こそがマルクス主義の指導的地位を揺るぎなくする」と発言し、共産党の「喉と舌」であるメディアを通じて思想引き締めを強める狙いがある、ということになるようです。


 今や昔のこととは言え、思想的なことなどまったく考えずに雑誌作りをしてきた僕は「中国のジャーナリストって大変だなあ」と率直に驚きました。
 まず最初に「研修を義務付け、免許の更新試験をする」という言葉をそのまま受け取ると、彼らは全員“記者試験”に合格した人たちだったわけです。しかも、そんな人たちが25万人もいる! この人数にも驚きました。


 確かに僕も出版社に入る前には入社試験がありました。しかしそれは一般常識だったり専門知識の入口への興味を探るもの。ペーパーテストと実技と面接がありました。決して思想的なものではありません。もちろん“免許更新”なんてありません。管理職になるための昇進試験もありません。よく言えば「毎日が明日への試験」ということも出来ますが……。
 きっと今でも、ほとんどの出版社で担当分野の免許更新試験なんてやってないでしょう。


 研修テーマとして「マルクス主義報道観」「中国の特色ある社会主義」「虚偽報道の防止」などが挙げられているようですが、虚偽報道は理解出来るもののそれ以外は拒絶反応を示してしまうかもしれません。
 言葉を選んだ書き方になりますが、それぞれの出版物が醸しだす固有の哲学や思想心情を大切にすることのほうが重要ではないでしょうか。国家的な枠にはめた報道やページ展開で読者の共感を得られるのでしょうか。読者はそんなに甘くないということを痛いほど教えられてきた僕にとっては疑問です。
 今、僕は「更新試験に向けた勉強なんて……、お前には無理だっただろ」と自分に語りかけてしまいそうになっています。日本のヘボ編集者でよかった。


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