∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

タバコ屋のオヤジと

【大切なのは人とのつながり】


 「よく利用する近所のタバコ屋」。タバコはコンビニで買うのが主流になった今、この言葉自体、絶滅寸前になってきました。
 時代の流れに逆らうかのように「オレは、たとえひと言であってもお客さんと言葉を交わしながら商売していきたいんだ」というオヤジがいます。


 僕はそんな彼の姿勢が大好き。毎日とは言えないけれど、できるだけその小さな店で買うことにしています。いや、買うというよりも話をしに行くといったほうがいいかも。なにしろタバコ一箱買うのに30分は話をしているのですから。
 世間話で終わることもありますが、タバコの新製品の話をすることもあれば、消費税の話をすることも。仕事に対する姿勢を熱く語る彼の話に引き込まれることもしばしばです。
 そんな彼は「商売は人とのつながり」と言い切ります。タバコひとつでも「買えばいい、売ればいい」というのでは、“やりがい”という仕事をする上で一番大切なことを失ってしまう、ひいては人生そのものが“生存しているだけ”になってしまうと彼は信じているようです。


 僕も、この姿勢はどんな仕事でも言えるはずだと思っています。彼の哲学の中には、商品力や宣伝力、低価格戦略、強力な流通システムなどの“川上”の戦略だけでは切り崩せない「消費者の気持ち」を惹きつける何かが備わっています。
 「そんな甘いことを……。何も分かっていないアルバイトなんて信じられない」と考える企業人が多い中、いま一度、最前線で働く人たちの姿勢を見つめ直して“機械的な買物時代”からの脱却を図るべきではないでしょうか。


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