【古典的風景】
先日、僕と同年代の女性が20歳台の女性に向かって「あそこの喫茶店で待ち合わせしよう」といったところ、若い女性から「エエッ、喫茶店ですか」と驚きと批判と拒否の気持ちが混ざった声があがりました。
もちろん、若い女性もその店を知っているのですが、彼女にとってそのお店は「カフェ」。決して喫茶店ではありません。
彼女にとって喫茶店には、古臭い、スイーツがない、年寄りが多い、オシャレじゃないといったイメージがあるようなんです。片や古株の女性にとってはどんなインテリアやメニューが揃っていようとコーヒーがメインメニューになっている限りはすべて喫茶店。共通言語が生まれるとは思えません。ちなみに僕は、幸いなことに漠然としているものの違いは判るような、判らないような……。
喫茶店。コーヒーハウス。カフェ。一体、どこに違いがあるのでしょう。正直なところ、喫茶店が世代変わりしてリノベーションし、カフェに変身する流れは定着して何年にもなります。
でもその違いは? メニューの違いでしょうか。インテリアでしょうか。それとも、その店を利用する時のモチベーションの違いでしょうか。目的意識の違いでしょうか。
そんなことを考えながら神保町の「喫茶店」でコーヒーを飲みました。酸味と苦味どちらかを選び、好みのカップを選ぶところからその店の注文は始まります。
注文を聞いてから豆をひき、一杯ずつペーパーフィルターで抽出。その間にカップは熱湯で温めておく。カップに合わせたスプーンを添えてサーブする。無駄口はなし。当然、味は抜群です。
ケーキなどのスイーツを注文する方も多いようですが、それよりも目立つのは近くの古書店で手に入れた古書をコーヒーを飲みながら読み始める方や、打ち合わせをする出版関係者。
ちなみに数年前までは全席喫煙でしたが、時代の趨勢でしょう、窓際のスペースが禁煙スペースになりました。実はこの店、灰皿がすべて「使っていいのかどうか判らない」オリジナルものなのでタバコを吸うともっとこの店を利用できるのですが……。
イメージよりも味で勝負だ。なんてことは言いません。しかし、ある程度のレベル、手頃な代金、マニュアルどおりに接客する店員。そんな店ばかりでは「街の格と核」を作ることは出来ないと思うのですがいかがでしょう。
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