∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

ひょうたんから駒の大問題発生

【定例会にて】

 今日は毎月恒例になったあの軽い認知症を患ってしまった友人との定例会でした。ですが、今日は複雑な気持ちでの出会いに。
 というのも、先日友人のところにとある出版社から「小説の中に登場する音楽について何か書けないか」という連絡があリ、彼はそれを受けました。しかし、彼は過去に自分が経験したことのある事象に関しては覚えているけれど、新たに情報を取り込み再構築して表現するかという評論をなす者にとっての基本能力が欠如してしまっています。彼は恩義のある出版社だから受けたということですが、僕は本当にできるのかどうか、どう考えてもハードルは非常に高いと感じてしまったのです。
 体調を心配するだけの日常が一変して以来、メールでは彼は本を読み、メモをとっている段階だということでしたが、今日は直接会ってそのオファーの詳細と彼の体調や意気込みを聞き出そうという会になりました。
 結論から言いましょう。確かに本を読みメモはとっていました。しかし実際は、奥様が読み、メモを作っているだけで彼には手が出せない状況のようです。早い話が何をすればいいのか思考できないのです。しかし意気込みには強いものがあるし、これまでと比べれば自意識も高まったようです。
 やはり、そうだったか。僕は現実の厳しさを改めて教えられたようでもあり、これからどうアドバイスができるのか悩んでしまいました。
 定例会を終えた今も、なんとか彼に復帰してほしいという気持ちと、早く症状を告白して断るのが正しい道筋だという気持ちが僕の頭の中でせめぎ合っています。ここで断れば完全に彼の頭脳労働に対する意欲は失せるはず。今でも体調次第で良くなったり悪くなったりしている日常生活も一気に次の段階に落ち込んでしまうだろうという危機感もあります。
 症状の悪化を防ぐことを再優先して、いっその事、奥様がデータマン役と原稿にまとめる先導者的な編集者の二役をを引き受け、彼は言われたとおりに原稿にまとめるという「後ろめたさ100%の危機脱出法」を取ればいいのではと大胆不敵な話さえしてしまいました。
 しかし奥様は原稿を書いたことなどまったくない方のため、緊急事態が起こってしまったら、もう一度僕がプロの原稿書きとしてでしゃばらないといけないのかと覚悟しています。
 僕自身、毎日書いている心情吐露だけのブログより、取材データを元にしてまとめるほうが圧倒的に馴染みのある世界。そうなったらそれでも結構です。しかも今回のテーマなら書き上げることに無理はありませんから。
 とにかく彼の症状が今より悪くならなければいいのです。ただし、その場合は出版社に原稿とともに掟破りな事実は伝え、ページにするかどうかは先方に委ねますが。
 ウーン、難しい。参った。どうしよう。どうして受けちゃったのかなあ。今の自分の状態さえ判らなくなっている彼のことを思うと悩みは増すばかりです。

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