∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

お見舞いに

【驚きのあとの確信】

 目を患って手術、現在入院中という友人の奥様にお見舞いに行ってきました。が、今のお見舞いルールをまったく知らなくて……。

 出掛ける直前、入院中のご本人から「手術は成功。お花の持ち込みは禁止です」というCメールが届きました。さあ、大変です。見えなくても微かな香りだけでも楽しんでもらおうと、花と花瓶を持って行こうと思っていたのに予定変更です。いいお天気に恵まれた今日、お彼岸帰りの人々でごった返す谷中銀座で和菓子を買って再スタートしました。

 御茶ノ水にいくつかのビルを持っている病院で彼女が入院している病棟は昨年完成したばかりの最新のビルです。まるでオフィスビルのような受付で受付を済ませ病棟へ。なんだかきれいなビルだなあというのが第一印象。クレゾール石鹸液の臭う古典的な病院しか知らなかった僕にとってはまったく新しい経験です。やっと病室に入ると広い窓と清潔そうなカーテン、まだ新しいサイドテーブルなど、下手なビジネスホテルより圧倒的に上質な作りです。

 そんな病室で彼女はベッドに座りながら外を見ていました。そうです、見ていたんです。きっと眼帯をして包帯も巻いてグッタリしているんだろうなと覚悟していた僕にとっては何度目かの驚きです。挨拶を済ませてよく見ると透明プラスチックのアイガードをしているだけ。白目は充血していましたがキズもないようです。考えて見れば当然です。眼球そのものにメスを入れているのですから顔にキズがあるわけはなかったんです。しかもお話しをし始めるといつも通りのペース。元気そのものでした。ふたりで持っていった和菓子をつまみながらあれやこれやとお話しを。病室自体が過ごしやすい作りになっているのか落ち着いた気持ちで過ごすことができました。

 手術も成功したし、体調もいいようだし。正直言ってホッとしました。認知症を患ってしまった僕の友人にとって彼女はなくてはならない存在。極端に言うと彼は奥様がいないと生きていくのもままならない状態なんですから。
 ご自分のケアをして状態が良くなったら、もう一度彼のケアに戻ってください。それがこのご夫婦にとっての幸せの道だと思っています。たとえそれが苦難の日々だとしても。
 何が出来るわけでもないけれど、僕も応援します。

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