∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

彼は花火大会が待ちきれずにどこかへ

【またいなくなってしまった】

夕方近くだったでしょうか、先日まで自由行動が過ぎていた「あの彼」の奥様から電話がありました。「ちょっと目を離した隙に、またいなくなっちゃった」と。
 多摩川の花火大会が行われる今日、彼ら夫婦も見物に出掛けたらしいんです。奥様曰く「去年楽しそうだったから今年も行くことにしたの」。「今年はつまみもいっぱいこしらえたし、ビールも買ったし、楽しみね」と行く前は話していたというのです。
 ところが、彼は準備ができた途端、出発したくなってしまったんです。時間は午後2時。会場まで30分もあれば着くはずなのに、彼は猛暑の中を会場で待とうとしたのです。しかし、あまりにも暑かったらしく、途中で混乱が始まり、言動がおかしくなり、ついには奥様が横を向いた瞬間に走り去って行ったらしいのです。会場はすでに満員状態で、追いかけようにも間に合わなかったとのこと。
 普通なら大騒ぎになるところでしょうが、さすがは「常習犯の妻」。慌てず騒がず、二子玉川の駅周辺だけは探したけれど、そこで諦めたと言うのです。きっと渋谷方面に行った後、自分で自分の居場所が判らないという事実に気がつけば電話をしてくるはず。ひょっとしたらタクシーで帰ってくるかも、とのたまうのです。熱意だけでは介護はできないという証明かもしれません。介護する側だってウンザリする瞬間ってありますからね。
 正直言って、一緒に住んでいない僕には理解できない反応ですが、こうでもしないとストレスばかりが溜まってしまうのでしょう。これもまた「干渉しない見守り」の手法のひとつなのかなと自分を納得させました。ちなみに奥様は自宅に戻られたようです。

 それにしても、毎日のメールの文面から少し落ち着いてきたかなと感じていた僕のなんと「甘い」ことか。やはり症状は深刻でした。後は、彼が事故に会ったり、トラブルを起こしたりしないことを祈るばかりです。
 夜10時の時点で帰ってきたことを知らせてくれる電話はありません。どこにいるのかも心配だし、どうすればこの状態を防げるのかという根本問題にも悩みが募るばかりです。きっと帰ってくると信じて、連絡を待つことにします。

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