【どうして集まるの】
「できるだけ日曜日の谷中には近づかないほうがいい。特に谷中銀座とよみせ通りが交わる辺りは歩くのも難しいぞ」。地元でこっそりと囁かれている言葉です。
僕も外国からの観光客が一気に増える日曜日には可能な限り近づかないようにしています。人種のるつぼになってしまう丁字路を通らなければいけない時でも、ぐるっと遠回りするのもしばしば。とにかく、コロッケを食べながら歩いている人やスマホの通訳ソフトを立ち上げようとしている人たちとぶつからずに通りたいと思えば、遠回りしたほうがいいと思ってしまうんです。
と、いつもは避けて通る所を今日は通り抜けてしまいました。気合を入れて、自転車を降りて、ゆっくりと通り抜け……、平日なら２秒で通り過ぎられるところを、３分以上掛かっても通り抜けられたのだから、ヨシとしないといけないのでしょう。
以前住んでいた浅草のように道が広ければ問題はありませんが、この街の場合は住宅地として成長してきた下町の小さなエリアだけに、道は狭いし、曲がっているし。風情はあるけれど、キャパシティは小さいのです。そこへ浅草と同じような感覚で観光客が集まってくると一気に街がオーバーフローしてしまうんです。
それにしても。観光客の皆さんはどうして集まってくるんでしょう。もっと浅草やスカイツリーを楽しんでくれればいいのに。こちらだって覚悟が出来ているので気持ちよく共存できるのですが。
ところで。僕が押している自転車の前カゴに入っていたコロッケを包んでいた紙袋は、いったいいつ入ったんでしょう。丁字路にあるドラッグストアの駐輪場に10分ほど停めておいた時に「ポン」されちゃったんでしょうか。数え切れないほどの人とすれ違ったので、まったく気が付きませんでした。
フム。ゴミは他人が押している自転車のカゴに入れるようにとガイドブックに書いてあるのでしょうか。そんなワケないですよね。
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