【時代は巡るで済まされるのか】
先日、どこかの新聞の電子版に「論文作成時の最大の難関はコンピュータが使いこなせるかどうかだ」という記事がアップされていました。
どうも大学や大学院で指導教官をなさっている方に取材した記事のようで、曰く、今の学生が卒業論文や修士論文を書き上げる時、内容や構成などを指導するのは当然だが、キーボードの使い方やコンピュータやソフトウェア特有の機能が活用できるように説明していると情けなくなる、ということのようなのです。
今やスマートフォンの時代。9つのキーを押したりフリックしたりするだけで目的の仮名文字が表示されます。しかも、選択肢が非常に多い予測変換機能も当たり前。ローマ字変換の場合に「A」のキーを押せば「あ」と表示されるだけのキーボードとは大きな違いです。
おそらくスマホに慣れた人にとっては長文のうえにある程度のレイアウト能力も要求されるような論文作成は取り掛かる前から大きな戸惑いを感じているのでしょう。
一方で、複雑なプログラムを書かなければいけないような場合でもストレスを感じない人やバリバリとコンピュータを使いこなしている人たちもいます。
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この記事を読んだ時、最初に思い出したのがコンピュータが一般的になった20数年前のことでした。 文字は手で書くものだし、偉そうなアラートを読むと腹が立ってくるという意見が飛び交い、コンピュータ操作なんて部下にやらせて印字されたモノを検討すればいいんだと結論づけた方が多かったことを記憶しています。
その後、急激な時代の変化の中で、このままでは仕事がなくなると気付き、仕方なくキーボードに慣れた人も多かったはずです。
ちなみに、当時からコンピュータの重要視していた僕は異端のように見られていましたが、僕は僕で、手書きがキーボード入力に変わり、書くことは秘書や部下がやることで自分でやるものではないという従来の仕事役割分担も変わるはずだと確信していました。
そんな劇的な時代の変化はあの時限りと思っていたのですが、今度はキーボードが使えず、ソフトウェア固有の機能も把握できない人が出現する時代が来てしまうなんて想像もしていませんでした。正直なところ、今の若い人たちはコンピュータもスマホも朝飯前だと思っていたのですが、そうではなかったんですね。逆にプログラムを組んだり、ホームページを一から構築できる人のほうが少ないなんて……。
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「時代は巡る」と言ってしまえばそれまでですが、ここまで温度差が出て来るようになると「もぐらたたき」のように手書きやコンピュータの使い方の練習をしなければいけなくなるかも。どうも、腑に落ちない時代がやって来たようです。
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