∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

母は強し

【小柄なのに強い存在感を示す「かあちゃん」】

 昨年、秋の気配が濃厚になってきた頃、大雨の中で3匹の子猫を連れたノラネコが帰宅しようとしていた僕に大声で「助けてほしい」と語りかけてきました。
 ノラネコにエサをあげるとご近所迷惑になると思っていた僕ですが、彼女の声と目線に必死さを感じ、エサをあげることにしました。とはいっても、初日はご飯をすりつぶしたものに鰹節を混ぜたものでしたが。

 その時から「かあちゃん」と3匹の子猫たちとの付き合いが始まったのです。外で暮らしている彼らに我が家の台所でキャットフードをあげ、また外に送り返すことからはじめ、徐々に我が家の中と行き来自由にしていったわけです。

 おんぼろアパートを管理している不動産会社ともひと悶着ありましたが強引に認めさせて数カ月、無理やり押入れを開けるワザを会得した「かあちゃん」が、僕の誕生日と同じ日の夕方、押入れの中に置いていたフィールドコートの上で3匹の子供を生んだのです。これで母ひとり子6匹。こうなると赤ん坊が大きくなるまでは世話をせざるを得ません。

 腹を括った僕は、居付き猫の世話係としてせっせとエサを上げてきました。その後、先に生まれ立派な成猫になった2匹が自活するようになったため、今では全5匹の世話をしています。 ちなみに「かあちゃん」はノラネコの挟持を忘れないのか、いまだに食餌が終われば外に出ていきます。もちろん、残ったおにいちゃんと3匹の子猫は我が家の中のお気に入りの場所で寝ています。

 乳離れとともに子離れも果たした「かあちゃん」がやってくると全員が緊張し、寝ていた者は目を覚まし、エサを食べていた者はエサ場から離れ、走り回っていた者は突然動きを止めて「かあちゃん」の動向や視線を追うようになります。子猫たちにとって「かあちゃん」はいつまでたっても「かあちゃん」。傍から見ていても絶対的な権力を持っていることが判るほどです。

 家を出入りする際は必ず僕に挨拶して、スリスリしてからエサを食べ始める「かあちゃん」。彼女がいる限り、僕にも子猫たちの成長を見守る責任があると感じています。

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