∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 梅雨時と言えば水辺の花だが ≡≡

夏至』の節季次候を彩る
蓮の花と花菖蒲

 二十四節季と七十二候を組み合わせると、今日からの5日間は『夏至』の節季次候「菖蒲華(あやめはなさく)」になる。

 一般的に梅雨ど真ん中の季節を彩る花の代表格と言えば蓮の花と菖蒲とされているが、そのうちの「菖蒲」には人を混乱させるややこしさが備わっている。
 まず最初に混乱させるのが名前だ。どちらも漢字で書けば「菖蒲」だが、カナ書きすると「アヤメ」と「ショウブ」になる。姿かたちは区別が付かないほどよく似ている。だが、植物学的にはふたつの種別だとされている。

 ところで、姿形が菖蒲に似た花に「杜若(カキツバタ)」があるが、これらの3種類の植物を植物学的に整理すると次のようになる。
カキツバタは水中に育つ植物で、5月中旬に盛りを迎える。花びらの付け根に入った白い筋が目印になっている。
・アヤメは乾いた土壌に育つ植物で、5月中旬~下旬に咲く。花びらの付け根に入る網目状の模様が特徴。
・ショウブは水辺に育つ植物でハナショウブとも言われる、6月~7月中旬に最盛期を迎える。花びらの付け根が黄色く色づいているのが特徴。

 つまり、優劣付けがたいほど美しいものを愛でる時に使う「いずれ菖蒲か杜若」ということわざには3種類の植物が登場しているわけだ。ちなみに、この時の菖蒲はアヤメを指している。

 これで整理が付いたと思いきや、そんな甘いものではなかった。5月の節句に欠かせない「菖蒲湯」の菖蒲(ショウブ)はサトイモ科の植物で、堀切菖蒲園などで楽しめるハナショウブ(アヤメ科)とはまったく別物らしい。

 アヤメなのかハナショウブなのか、それともカキツバタなのか。菖蒲湯に使われるショウブまで含めると、これほど混乱を招く花も少ないだろう。少なくとも私は“ギブアップ”する。今のところ“蓮メイン、花菖蒲サブ”で充分だ。
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[season13┃27 Jun. 2023┃12:55 JST
┃HASU:nelumbo nucifera(2/3)┃sinobazu pond, taito city.
Photographed on 12 Jun. 2022