この続きはコーヒーと一緒に

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

== マイナ保険証の怪 ==

いまごろ騒ぐ問題なのか

 マイナンバー制度が成立し、マイナンバーカードが交付されるようになってから10数年。当初は、ピント外れな政治家や官僚たちが「厳重な保管」や「記載事項は他人に漏らすな」と騒ぎ立てながら始まり、なんとも “面倒くさい” 制度が始まったものだと思っていた。しかし、そんな制度とカードが、いまでは税務署、医療機関、警察などで活用できる一般的なものになりつつある。

 そもそもマイナンバーカードから読み取れる個人情報は、自動車免許証や健康保険証に記載されている「誰でも目視出来るもの」でしかない。
 確定申告、運転免許、健康保険など重要な個人情報や企業情報に辿り着くにはカードに埋め込まれたICチップに保存されているコードを読み取ることと、個々人が打ち込むパスワードを認証する必要がある。
 そんな情報管理の基本を伝えずに、ものごとを進めようとしてきた国の姿勢には呆れるしかない。そんな姿勢だからこそ、「使い勝手の良さ、つまりユーザビリティ」を知らしめようなどと考えたこともなかったのだろう。

「法律や制度は発令すれば誰もが従うものだ」という姿勢が間違っているということが今回のマイナ保険証問題で浮き彫りになった。
 国民一人ひとりがもっているマイナンバーと健康保険情報を紐づけ(連結)させておけば、マイナカードが健康保険証の代わりを務めてくれるという基本的なことも伝えてこなかったのだから当然と言えば当然の事態である。

 マイナ保険証の制度は5年前に「2025年12月から健康保険証はすべてマイナ保険証に一本化される」と公布されている。文字の読み取りなど機能的にはいまだに不完全極まりないが、指示を出しているのがユーザビリティの重要性など考えたこともない政治家や官僚だから、ここまで辿り着いただけでも成果はあったというべきだろう。
 しかし、国民はそんな「お上の勝手な思惑」を見抜いていた。機能面の不備についての心配やクレームを出しているのだ。誰もが理解できる平易な一般語で書かれたFAQもないので混乱が起こっても当然だろう。

 なにはともあれ、健康保険証はデジタル化された。

 しかし現状では、たとえば国や自治体が個人負担分を負担するために発行している年令によって区分けされた「医療証」や「障害者手帳」や「被爆者手帳」との紐づけは手つかずのままだ。
 うがった見方だが、「認識するには番号とふりがなさえあれば事足りる」という論理で事を進めてきた結果なのか、異体字や難読漢字など特例として認められている漢字を認識させるための作業は後回しにされている。

 個人的に1年以上前からマイナ保険証を使ってきた人間として言えるのは「不完全だが、それなりに便利で早い。しかも既往症など余計な説明も不要」な「使えるカード」ということになる。
 要するに、問題点はユーザビリティやパブリシティに欠けている制度設計と拡張性確保やバグ修正などの構造設計に手間取っている国の姿勢だけなのだ。

==[season16]Dec.02 2025 小雪末候 ==
〈Twilight Time Approaches〉
Minami Ikebukuro, Toshima city
Photographed on Nov.09 2024