∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

鏡を見る

◇小さな小さな家なのに鏡が5つ。僕の生活の中で鏡は欠かせない。起きた時にチラッと見る。歯を磨きながら見る。出かける時に見る。風呂に入った時に見る。少なくとも一日の中で5〜6回は見ている計算である。
しかし、家以外では、トイレのように大きな鏡がある所でも見ない。女性のように服装や化粧の具合いをチェックしたりすることはない。
◇何を隠そう、鏡を見る時は掛け声付きなのだ。僕のマイ・スタンダードとしては、起きた時には「今日も生きてるぞ」だし、歯を磨きながら、心の中で「元気、元気!!」。風呂に入った時は「今日も頑張ったか」である。
ただし、出かける時は日によって微妙に違う。たとえば、「ファイト、ファイト」とか、「くじけるなヨ」とか、「落ち着いて行けヨ」とか、「慎重に、慎重に」とか。その日のスケジュールによって出てきそうなシチュエーションを想像しながら、鏡の中の自分の顔や目を見ながら、言い聞かせるような気分で掛け声を掛けている。
◇あえて言うが、「鏡ばっかり見て、コイツ、相当なナルシストだな」なんて思わないでほしい。どう見ても美とはかけ離れた顔であり、髪型であることはよく知っている。しかも、「格好をつけたところで何になる、自分なりでいいじゃないか」という信念で生きてきたのだからナルシズムとは無縁だと信じている。もちろんアリスでもないし、魔女でもない。
しいて言えば、独り言が多すぎるオヤジといったところだろう。
◇すぐに自分が見えなくなってしまう傾向のある僕にとって鏡は、自分に気合いを入れたり、暴走を防ぐように言い聞かせたりする大切な道具。誰にも言えない言葉や、言われると照れくさいような言葉を、何の気遣いもなく、正直に言ってしまえるのだ。
鏡の中の自分と本来の自分。虚実を同一視しながらのマインド・コントロールで精神をウオームアップさせたりクールダウンさせたり。僕はこんな人間である。
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