∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

ひと休みして桜餅、柏餅

◇僕は甘いものが好き。ケーキでもチョコレートでもキャンディでも、もちろん和菓子もいい。
 だけど、今の時期は季節的に桜餅や柏餅がいい。和菓子界の区分けを使って厳密に言うと「和菓子」ではなく「饅頭」だが、いまは食の時間。厳密なことは横に置いておこう。
 上質のあんこと上質の餅を使ったものであればいいのだ。
 これを僕はコーヒーと一緒に食べる。濃いめに入れたコーヒーとあんこのマッチングの素晴らしいこと。実は、甘みのある日本茶では甘みの二重奏になってしまうので、あまり好きではない。
◇東京では桜の花も散り、優しいグリーンの若葉が目に飛び込んでくる季節になった。そして、桜餅が食べたくなった。
 なんとも単純な話。少しだけ残った桜の花びらと日ごとに大きくなっていく若葉を見て、美しいと感じる前に食べたいと思ってしまっただけの話。
 ちなみに僕は道明寺と呼ばれるタイプのほうが好みである。なければ、あんこを桜色の薄い生地で包んだものでもいい。要は美味しければいいのだ。
◇そして、あと二週間ほどで「こどもの日」がやってくる。となると、柏餅である。こちらはこしあんつぶあん、みそあんという定番の三種類を順に味あわないと気が済まない。つまり、たっぷり食べたいのだ。ただし、餅はあくまでも白く、なめらかでなければ納得できない。
◇ところで、桜餅も柏餅もそれぞれの葉に包まれている。しかし、桜餅のそれは塩漬けだから一緒に食べられる。しかも適度な塩気が桜餅の甘みを引き立ててくれる。ところが、柏餅のそれは生の柏の葉である。つまり食べられない。季節感を取り入れながらも、持った時に手を汚さないようにした一種の演出である。
 となると、僕の基準からいくと桜餅のほうが「エライ」ということになる。なにしろ手に持ってもベタベタしなくなるし、味のアクセントも作っている。しかも、グリーンでピンクを包んだ爽やかさの演出もいい。
 だからかどうかは知らないが、桜餅はお茶席の和菓子も作っている和菓子店の店頭に置いてあっても違和感はない。それに対して、柏餅は主にお餅や赤飯を扱っているお店のもののほうが素朴な風情を出していることのほうが多い。和菓子店のものは繊細すぎることが多い。
 カジュアルなお茶席でも通用しそうな桜餅と、子供が外でガブッとかじり付くにが似合う柏餅といった違いを感じるのだが……。
◇といいながら、難しいことはすべて忘れて、桜餅から柏餅へと食べ進んでいこう。さしあたって、明日は桜餅だ。
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