【実力こそ復活の原動力】
ウインブルドンで伊達公子さんが善戦の末、二回戦で敗退した。しかし、負けたとはいえ彼女は別格。一旦表舞台から退いた後、力強く復活したその能力の高さは比類ない。まさにウインブルドンのセンターコートに相応しいプレーヤーと言えるだろう。
彼女のブログを見ると、対戦相手のヴィーナス・ウイリアムズを称賛しながらもベストパフォーマンスの試合が出来たことに満足している。若いプレーヤーにない奥行きの深さが彼女の強みの一つなのかもしれない。そしてチャレンジするのが好きと言う姿勢が復活のキーポイントだったのだろうと確信している。
そう言えば、あのピンクレディも復活した。
何を隠そう、僕は学生時代にとある芸能月刊誌でカメラマンのアシスタントというアルバイトをしていた。その時、デビュー寸前の彼女たちのスナップ撮影のアシストをした。もちろんモノクロページである。まだガチガチに緊張した彼女たちがテレビの中で大活躍し始めるまで時間は掛らなかった。あっけに取られるような急上昇で、「これが芸能界なんだ」と実感した。
そんな彼女たちである。年齢を考えるとあの動きが出来るなんて、それだけでも驚き。少しくらい息がゼイゼイしていても気にならない。それよりも自分に素直なところに昔以上に好感が持てる。
復活というよりも永遠の歌姫、と言ったほうがいい歌姫の集大成も発売された。
『ひばり千夜一夜』というCD+DVD58枚組の全集で、美空ひばりが歌う1001曲という大作である。
僕の父は彼女のファンだったらしく、よく歌っていた。今、僕もとぎれとぎれのフレーズをくちずさむことがある。きっと日本全国にこんな親子が数えられないくらいいるのだろう。天才とか、神様と言われているが、僕はそれ以上の誉め言葉がないものかと探している。
【復刻版にビジネスチャンスあり】
今、日清食品では『歴代カップヌードル・復活総選挙』と銘打って、デビューしてから40年間に発売された73種類のカップヌードルを復活させるキャンペーンを選挙スタイルで行っている。
73種類というのも初めて知ったが、ウエブサイトを見る限り、何種類かは記憶に残っている。なるほど、トップ・ブランドである。ちなみに、僕も投票した。
今やコンビニでも自販機でも売っている商品だが、デビューした頃の日本では、スーパーマーケットか干物屋くらいしか手に入れることが出来なかった覚えがある。実力あるものはどんなに舞台が変わっても中心にいる、という典型例のような気もしてくるから不思議である。
カップヌードルがブレイクしたきっかけが「浅間山荘事件」だとすると、今回の大震災でブレイクしたのが『人生ゲーム』だろう。
これも子供の頃、家族でやった覚えがある。すごろくのように止まった枡目に書かれた金額を子供銀行の紙幣のようなチケットを使って支払ったり貰ったりしながらのゲーム。子供ながら、自由にお金が使える大金持ちになった気分だった。
そんなゲームが大震災後、電気も使わず、家族全員で楽しめるものとして急に売り上げが上昇したという。確かにこのゲームなら親子3代に渡って楽しめる。しかも子供以外の2世代にとっては「懐かしい日々」を想い出させてくれるもの。ゲームそのものよりもノスタルジックな雰囲気のほうが強いかもしれない。
【書ききれないほどの復活・復刻】
リーバイスの復刻版、キリンラガーの復活……。
スマートフォンのようにまったく新しい次元を切り開く商品がデビューしている最中、ファッションの世界でも、食品・飲料品の世界でも復活や復刻が静かな大ブームになっているようだ。
単にノスタルジーだけで復活したとは思えない。どちらかというと「魅力的な新商品がない」のではとまで勘ぐってしまう。
風貌はオヤジでも気持ちは青年の僕としては、この「復活・復刻・復刊・リバイバル」のブーム、もう少し懐かしがりながら楽しんでみたい。
(明日に続く)
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