【古き佳き時代】
久しぶりに行った街で、久しぶりのコーヒーショップに入りました。いつものようなファスト・コーヒーのお店とは違い、いわゆる「喫茶店」です。
コーヒーを頼んだ後、煙草に火を着けて。たった数十秒の間に、懐かしい想い出が次から次へと頭の中に浮かんできます。
あの時の話、あの時の人、あの時の状況。こういうのをフラッシュバックと言うのでしょうか。
いつもなら、周囲を見渡して、どんな人がいるのか、どんなメニューがあるのかなんてことばかり観察してしまうのですが、今日は違います。コーヒーが届いたこともぼんやりとしか覚えていないほど、古き佳き時代の自分に戻っています。
僕にも、いつでも「前進」が当たり前。後ろを振り向いたり立ち止まったりするなんて考えられなかった時代があります。あの頃から、さほど年月は経っていないはずなのに、すっかりと取り巻く環境も自分の考え方も変わったしまったような気がします。
何をやっても面白く、何でも出来ると思っていた時代。浮かび上がってきた「ひずみ」を修正しながら前へ前へ。
きっと、今、そんな時代を迎えている人だっているでしょう。いつの日かそうなることを望みながら過ごしている人もいるでしょう。
さすがの僕でも「前へ前へ」だけの時代は卒業して、振り向いたり、足元を見つめたり出来るようになりました。怖さや苦しさも学びましたが、それも年輪のひとつと理解出来るようになったと、自分なりに感じています。同時に、今の自分だから出来ることってなんだろう。これならチャレンジする価値があるぞ、という自己分析や開拓精神が身についてきたのではとも感じています。
【誰にでもある精神】
と、ここまで思いを進めてきて、ハッと気がつきました。立派なことを言っているようだけど、こんなこと、誰にだってあるじゃないか。それに気がついているか、気付いた後実行に向けてシフトしているかどうかだけの話。対して立派な事じゃない、と。
僕の場合は、それとは逆に、気付いているようで気付いていないことや、やればいいのにまったく手つかずでそのままになっていることがあるはず。気持ち先行で、手掛かりすら掴めそうにないものが多いじゃないか、なんて自己批判もしてしまいました。
そうなんですね。「気付くべきことに気付くこと」や「着手する努力や勇気」って簡単そうで実は簡単じゃない。
久しぶりに入った喫茶店で、そんな人生論まで考えてしまうなんて……。どうかしてます。もっと現実重視で明日のことを考えたり準備したりすべきなのに。といっても、ここまで考え込んでしまったこと、これも「大切な想い」のひとつとして頭の片隅に仕舞っておきましょう。
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