∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

辛くて旨くて楽しくて

【寒い】


 天気予報が当たったようです。背中がゾクゾクしています。帰宅して少し落ち着きましたが、それでも寒い。ちょっと急激なようにも感じますが。
 気をつけないと本当に風邪を引いてしまいそう。先日の体調不良のように一日で回復とはいかなくなっては大変。なんとか抑え込んでしまいます。と、言いながらも、ちょっと気合いが足りていないから、こんなに弱気になるんだ、なんて思っている自分が見え隠れしています。


 精神論はこのくらいにして。
 急に寒くなったので、夜は何か暖かくなるものを食べたいなと思い、とある中華屋さんに行きました。千駄木にあるこのお店、小さいながらも美味しさと辛さで有名な地元で有名店です。中国系のご夫婦とアルバイトの3人で切り盛りしているためか、お客さんが混んでくると、頼んだものが出てくるまでかなり時間も掛かるし、中国系のアルバイトにオーダーするとまったく違ったものが出てくることもあるという、いわば「出来そこない」のお店です。でも、いつ行っても満員。夜中3時までの営業時間中、ずっと混んでいるそうです。


【結局、味かな】


 今日は、刺激的な辛さで人気の珍麻婆豆腐をいっそう辛めにしたものとすっぱ辛い味が食欲をそそる酸辛湯を頼みました。もちろんご飯は大盛。奥さんに頼んだので、きっと頼んだ通りに出てくるはずとのんびり待っていたのですが、となりで豚肉の唐辛子炒めを頼んだ人が出現。あっちがよかったかな、なんて思っていたところへ、今度は、香港で食べる時と同じように具材を自分でチョイスする火鍋を頼んだグループが。こうなると、皆さんと友達になって一口ずつでも食べさせてもらおうか、などと不謹慎なことまで考えてしまいました。
 それにしても不思議なのが、どうしてこんな「出るものも出てこない」ようなお店が大人気なのかということ。僕以外の人たちも「出るものも出てこない」というローカル・ルールは知っているようです。それでも虜になり、メニュー征服を目指して通っているのだと思います。


 このお店の魅力ってどこにあるのでしょう。味の良さでしょうか。いつもニコニコ楽しそうにしている奥さんの性格でしょうか。リクエストに応えてメニューにないものだって作ってくれる柔軟な対応が心地いいからでしょうか。一度行けば顔を覚えてくれ、味の好みまで気を使ってくれるところでしょうか。ほかのお店より少しだけ安い価格設定でしょうか。
 僕は、すべてのファクターが組み合わさっての人気なんだろうと結論づけてしまいました。手書きのメニューのいくつかが読めなくても、BGMが中国語版の演歌であっても、ミス・オーダーを「こっちのほうがオイシイヨ。値段はオナジ」で済ませてしまう強引さが気になっても、時折、お子さんが通う千駄木小学校のPTAの会合のようになっても……、ちょっとくらいの弱点は帳消しにしてしまう魅力を正確にひと口にまとめようとした僕がバカだったのかも。


 と、そんなことを考えていたら頼んだものがちゃんと出てきました。それではと、がっつり食べて辛みで暖かくしてしまいました。
 食べ終わり、外に出ても汗だく。旨さと親しみやすいシンパシーで心の中はホカホカ。寒さに怯えた45分前とは別世界です。一日の最後の食事が美味しいと一日が素敵な一日だったと感じるのは僕だけでしょうか。ウーン、満足。


[373/1000]