【ハリウッド&ハイランド センター】
毎年、その年に上映された映画の中で最高のものを選んできたアカデミー賞。これほど権威があり、影響力の強い賞はグラミー賞など数えるほどしかないと言われています。
その発表は映画の聖地でもあるロサンゼルスのハリウッド・ブルヴァードとハイランド・アヴェニューが交わる所に2001年に完成したホールで行われます。正式名称は『ハリウッド&ハイランド センター』ですが、完成した時から『コダック・シアター』というニックネームで言われ続けてきました。
ところが、今年からその名前が『ドルビー・シアター』に変更されることになりました。
原因はコダックが経営破綻して破産法(日本の会社更生法)の適用を受けたため、命名権まで放棄することになってしまったため。
映画とコダックは切っても切れない関係にあると思っていたのに、映画そのものがデジタル化したうえに、写真もデジタル化。この急激な変化に対応出来なかったために経営が破綻したという厳然たる事実は受け入れざるを得ませんが、それでも、それでも、それでも寂しすぎる出来事です。
ホームページを見てもプロ用のカラーフィルムのなかでリバーサルフィルムはすべて「生産終了」という注釈がついています。今やフィルムで生産を続けているのは映画用にも写真用にも使われるネガフィルムだけ。まだネガフィルムを使用しているプロのカメラマンや映画製作者がいるからでしょう。
しかし、これだけしか製品ラインナップがないなんて、信じたくありません。
同時に映画の聖地で行われる映画の最高峰を決める祭典からあのコダックの名前が消えるなんて信じたくもありません。
失礼を承知で言うなら『コダック・シアター』は『C.C.レモンホール』とはワケが違うんです。
確かにドルビーも映画のサウンドを支えるブランドではありますが、やはり映画の表現媒体はフィルムが主役であってほしいのです。サウンドだけでは映画にならないのですから。
時代の変化と言ってしまえばそれまでですが、コダックだけは生き残って欲しかったと強く感じています。3Dを中心に映画表現が大きく変化した現代、なんとかしてコダックの名前だけでも残るようにならないものかともどかしく、そして寂しく感じています。
[558/1000]