∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

社会性と自立性をケアする道具

【壊れた?】


 ちょうどお昼頃、友人から「コンピュータがおかしい。インターネットの画面がいつもと違う」という電話がありました。長い時で3カ月、短い時で2週間に一度はこんな電話を掛けてくる友人です。
 いつものことなのでこちらも手慣れたもの。まずリモート・アシスタンスで接続して先方のデスクトップを表示し、電話をスピーカフォンにして“診断&メインテナンス”に取り掛かりました。見てみると「これくらい直せないかな」という程度のことなのに、彼にとっては一大事。隣にいるはずの奥様も参加して元通りにしようと意気込んでいるようです。
 そして、直しました。2時間掛かりました。これまたいつも通り、直すところは簡単なのに言葉が通じないのです。「右上の歯車のようなボタン」とか「“はい”のボタンを押す」と一つずつアナログ語に直しながらガイドしながらの作業です。ところが、時々出てくる「右クリック」という言葉を聞いた途端、次の動作で「クリック」とか「押す」と言っても「右? 左?」と大混乱してしまう彼のこと、いくら「クリックとか“はい”は必ず左、右クリックは完全に別動作です」といっても理解してくれません。しかもこちらが言ってない動作を勝手に繰り広げる始末。毎回動作説明とこちらの指示通りにしてほしいと話しながら作業をしているのですが、どうも、それも理解できないようなのです。


 ハッキリ言います。コンピュータの設定を変えてしまった時、彼は正気だったんです。そして今は、いつも通りの認知症の症状が出た状態に戻っているわけです。それでも彼はインターネットやメールで外界とのつながりをキープしようとしています。
 そんな彼と介護を続ける奥様を僕は応援します。面倒だし予定もズタズタになるし、呆れるほど手間も掛かるけれど、たったこれだけで彼の社会性や自立性をケア出来るのだったら時間が許す限り“お相手”させてもらいましょう。


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