∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

いつもの友人が調子悪そう

【垣根を張った自分の世界】

 毎月一度会っている友人と会ってきました。そう、あの認知症の彼です。
 先日、彼の奥様からいただいた電話では、新しく手に入れたコンピュータの調子が悪い、というか、必要のないソフトウエアを何の確認もせずに次々とダウンロードした結果、インターネットを見ようとするといくつも新しいタブが開いてしまう。コンピュータが壊れてしまったので、なんとかしてほしいというリクエストでした。
 実は、そのことで夫婦喧嘩になったらしく、彼は無意識の怒りに駆られてコンピュータを捨てようとしたらしいのです。咄嗟に奥様がコンピュータを隠して捨てるまでは至らなかったようなのですが、コミュニケーション能力の維持のために毎日続けてもらっていたメール交換はストップしたままでした。
 ちなみにその内容は数種類の内容を繰り返すだけで、こちらが新たな話題作りをしても、自分の記憶している範囲の内容で返ってくるばかり。正直なところ、会話にはなっていません。それでも一縷の望みを持って続けてきたものです。

 ご自宅にお伺いして隠してあったコンピュータを出してもらい、不要なソフトウエアを削除し、ウインドウズやインターネットの設定を見直し、ノートンを掛けて終了。約3時間の作業でしたが、その間、彼は数秒に一回、終わったかどうかを確認し、一時間をすぎる頃からは作業中の僕に対して食事に行きましょうと声を掛け、それでも動かない僕の腕を取り、遂には自分ひとりで出かけようとし始めました。
 食事に行っても、僕からの問い掛けには空返事で昔の自分のことを繰り返し話すばかり。数ヶ月前にはここまで「垣根を張った自分の世界」に閉じこもってしまうことはなかったのに、と呆然としてしまいました。
 なんとかもう一度、元の彼に戻って欲しいと思いつつ、平静を装いながら3人の定例会を続けました。

 お願いです。どなたでもけっこうです。彼に現実の世界との接点を取り戻してあげてください。いえ、どうすればいいのか教えてください。
 違った世界に突き進んでいっている彼が僕たちの世界を振り返り、戻ってくる日が来ることを心から願っています。

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