∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

定例会の夜

【どこかおかしいぞ】

 一ヶ月に一度、友人夫婦と定例で夕食を共にするようになって早くも四年経ちました。今日もいつもどおり会いました。
 しかし、どこかがいつもと違っていました。まず気がついたのは友人の視線が定まっていない点。いわゆる虚空を見つめると言えばいいのでしょうか。定まっていないんです。次に2〜3日前にメールで話したことをまったく覚えていない様子なんです。これまではその辺りまでは記憶のカケラがあったのに、今日は昨日のこともあやふやになっているようです。

 彼がトイレに立った時を狙って奥様に聞いてみると、ここ数週間はこんな調子で、なおかつ、寝たり起きたりという自分の行動に奥様が同調しないと途端に機嫌が悪くなり、モノを投げて意思を通そうとするとのこと。よく聞くと毎日のメールも奥様が書くべきことを教えることがほとんだだとか。

 これまではこんな状態ではなく、時としてなんの障害も感じないほどだったのですが、どうも認知症の症状が進んだようです。正直なところショックです。悲しいです。何も出来ない自分が歯がゆいです。どんなに周辺の環境を整えても、彼自身が理解していないように見えるのも悔しいかぎりです。
 どんなことを言ってもしようがないことは判っています。淡々と見守リ、目の前で起こっていることだけを話題にすることでストレスを軽減して症状が進むのを抑えてくれると信じて、これからも語りかけることを続けることしか僕には出来ないのでしょう。症状が次の段階に進むまでは毎月一回、外で夕食を共にする歳事も続けようと思っています。

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