∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

変わらない味と雰囲気

【九段下の天丼屋にて】

 午前中から九段下近辺に出没していました。そしてお昼すぎ。1時を過ぎてそろそろ空いたかなと想像しながらとある天丼専門店に。
 まだ社会人になりたての頃、何かの用で出掛けた御茶ノ水駿河台下で偶然見つけた天丼専門店がありました。そう、あの辺りに詳しい方ならもうお判りでしょう、あの店です。いつ行っても外には行列が出来、中に入ると縁台風な長椅子にまた数人。とにかく並ばないとありつけない天丼を手際よく出してくれる、あの天丼しかない店です。エビ、イカ、キス、かぼちゃ、そしてこの店以外では食べたことのない海苔の天ぷら。これだけ載って天丼一杯6百円。かなり長い間この値段のままだと思います。
 数十年前は屋号も違っていましたが、いつの頃からか近くに場所が移り、屋号も変わりました。しかし並ぶのは同じ。味も店内の雰囲気も変わりませんでした。その店が2〜3年前に九段下近くに引っ越し。当初は駿河台下からだとちょっと遠いかなと感じていましたが、今ではイソイソと向かうようになりました。
 カウンターしかなくて隣のお客さんと肩を寄せあって食べていた以前より少しだけ広くなったような気もしますが、揚げ具合いの見事さ、タレの絶妙な濃さにはまったく変わりなし。もちろん静かだけれど機敏な応対や整理整頓の素晴らしさも変わりません。
 この「変わらない」というのが素敵なんです。ホッとするんです。「変わらない」からお客が帰ってくる。お客が探しだしてくれる。そんな奥義を体現している店といってもいいかも。
 今日はごちそうさまでした。また行きます。そして熱々の天丼をハフハフと食べて、出汁の効いた赤出しをススーと流し込んで、何事もなかったようにサッと引き揚げます。これからもここしか食べられない「天丼」をお願いします。

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