∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

風呂屋の番台、やってくれないかな

【ひょっとして、真夏の「昼」の夢?】

 今日の午後、ある方と出会っていました。千駄木のいつものカフェで待ち合わせて、いつものように自腹でコーヒーを頼み……。いつも通りの展開でした。
 暑さのことやオリンピックの話など、他愛もないことを話していたのですが、その方が急に背筋を伸ばして話し方を変えました。そして「なあ、時間があえば風呂屋の番台、やってくれないか」と。急な話ですが、それ以上に内容にびっくり。風呂屋といえば家族経営が基本。ましてやお金を扱う番台──とはいっても今は浴槽が見えないカウンターですが──です。そんな大事な所を他人に任せるなんて、どうしたんだろう。よほどの理由があるはずだけど、深い話も聞けそうにないし、かといって冗談で言っているようでもないし。
 「なんだか突然だし、冗談みたいな話ですね」と笑顔で話を合わせましたが、どうも話は切実なようです。詳しい話は書けませんが、釜炊きやらなにやらで手が足りない開店から夕方まででいいからとのこと。数ヶ月前までと違い、僕に時間的には余裕が出てきたことを知っている彼が、コイツだったらと思ってくれたのかもしれません。
 結論から言うと「ゼロベースで考えるから、少し考えさせてほしい」と彼には伝えました。銭湯が好きで、東京下町のほとんどの銭湯を訪れている僕ですが、働くとなると、まったく知らない世界です。何をやればいいのか、どう接客すればいいのか、ほかの仕事との兼ね合いはどうすればいいのか。まさにゼロベースで考えないといけないことばかりです。幸いにも、遠い将来を見据えた仕事計画を練らなくていい年齢のため、自由に「明日と明後日」くらいを考えられます。
 もっとも、これが男湯も女湯も丸見えの昔ながらの番台だったらその場で誘いに乗っていたかもしれませんが、今風のカウンターだし、湯温が高いため僕自身はよほどでないと行かない風呂屋さんだし。かといって、話を持ちかけてくれた方のことを思うと、冗談で流してしまうなんて滅相もないこと。冷静に仕事と割りきって考えないといけないようです。その前に、どうしてこんな話が持ち込まれるような生活態度でいたのかを真摯に考えないといけませんが。

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