∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

似ているかどうかよりも

【オリンピックロゴよ、どこへ行く】

 やり直しとはいえ、メイン・スタジアム計画が動き始め、オリンピックのロゴが発表され、あと5年とカウントダウンも表に出始めて。やっとオリンピックが現実のものになってきたなと思っていたのに、今度はロゴにクレームがついてしまいました。
 なんとも今度のオリンピックを象徴するような出来事だと思いませんか。何か大きなキーワードが発表されると、必ず納得出来ない人が出てきて、それを収束させられずに右往左往という症状です。

 国勢や国益を賭けた世界最高峰のスポーツイベントだからクレームが出るのは当然。それを収束させるのも準備に係る人たちの仕事のはずなのに、責任はたらい回しのように感じて仕方ないのです。ニュースでは、何か問題が起こった時には責任を持ってあたる真のリーダーシップを取る人がいないと言われていますが、おかしくないですか。単なる事務職や名誉職ばかりとは思えないのですが。

 それはそれとして、今回のロゴ問題。確かに一見すると似ているように思えますが、最終表現に至るプロセスを比べてみると明らかに違うものだと思っています。
 TOKYO、TOMORROW、TEAMをキーワードにしたと聞いていますが、それに日の丸をプラスしたといったほうが正確でしょう。つまり、Tと日の丸を組み合わせたものというのが発想の原点だったのではないでしょうか。
 次に、50年前のオリンピックで使用されたTOKYOという文字はゴチック系でした。おそらくヘルベチカ・セミボールドを変形させたのではと想像しています。となると、今回は日本語の明朝系にあたるローマン系で攻めるのが妥当な進め方のはず。今回のものはタイムスニューロマンかボドニ−・エキストラボールドを加工したのではと感じています。
 書体を構成する縦線と横線を整理してシンプルかつ誇張させたうえで、Tの左右の羽根を分解して、日の丸を組み合わせると今のような形になります。
 そして、金メダルを表すゴールドと日の丸の赤を組み合わせたうえに、すべての色が交じり合った時に作り出される黒で締めたということではないでしょうか。
 ベルギーの劇場のロゴがフランス語のTHEATREのTをイメージしたというのも理解しますが、ではどうしてTだけにフォーカスしたのにTの右側の羽根を右下に持ってこないといけなかったのでしょう。オリンピックのように日の丸との組み合わせのなかで羽根を動かしたとは言えないと思うのですが、いかがでしょう。
 しかも表裏一体の存在であるパラリンピックのロゴがオリンピックとネガティブな色遣いになっているところから見ても、今回のロゴの「落としどころ」に間違いはなかったと感じています。
 と、こんなことを考えながら「たまたま、似ちゃったんだろ。何を大騒ぎしてんの。同じ文字と書体を使えば、そりゃ似るだろ」と斜に構えて事の成り行きを見させてもらっています。

 ところで、このすべての色を混ぜると黒になるという発想は印刷用のCMYKで生きている人の発想。RGBで考えるテレビやウェブ関連の人たちには理解できないかも知れません。つまり、透過光で考える人と入射光で考える人との違いがでてくるかもしれませんので、あしからず。

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