具体的な方法論が出るまでは冷静に
日本での新型コロナ用のワクチン接種の報道が急上昇しはじめている。以前から言われていたワクチンの副反応で死なないのかからはじまって、輸送はどうする、場所は、誰がどうやって接種するのか、どんな順番で、どんなスタイルで、個人情報の管理はどうする、強制なのかそうではないのか……。挙げれば切りがないほどの話題が出てきている。
だが、今日の時点で報道されているのは、どれもこれもすでにワクチン接種が始まっている諸国で浮かび上がった問題点を、言葉を変えてトレースしているだけのようだ。つまり潜んでいるはずの問題点に着目した話題は出てきていないと言ってもいい。
ワクチン接種が始まる2月下旬までには解決できるものばかりを報道するだけなら、まさに茶飲み話である。
視点を変えると、何に着目して報道するべきか暗中模索だが、国民の関心が高まっているからとりあえず取材しておこう程度でしかないとも言える。
大至急で構築中のヒューマンリソースやロジスティックの現況、あるいは適切な動員方法やテロまがいの妨害を防ぐためのセキュリティへの取り組みなど、切り込むべき点はいくつも残っているはずだ。
善意に解釈すれば、今はまだ獏としているが、取材を続け、明らかになったことから報道していくスタンスなんだろう。
そうでないとしたら。
何もかもが明らかになっていない状況の中で盛りだくさんの話題を提供することは単なる“煽り行為”でしかない。報道関係者の皆さんには、こんな時だからこそ平時よりいっそう沈着冷静で確実な情報提供を望むばかりである。
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