桜にまつわる言葉と日本人
東京のソメイヨシノがほぼ満開になった日曜日。東京は今週も雨でした。今や盛りのソメイヨシノにとっては恨めしい雨だったかもしれません。
それにしても、春の歩みが早すぎて、こちらのリズムまでテンポアップしそうです。
江戸時代に挿し木で育てるソメイヨシノが主流になって以来、それまでの梅に変わって、桜は日本人の意識に大きな影響を影響を与えてきました。
開花から落花まで状況に合わせた言葉、愛で方、印象……、桜にまつわる言葉ほど熟語の多いものはないといっても差し支えないでしょう。
満開時に降る雨は「桜流し」。そこに「花風」が吹けば「花散らし」。
「舞い散る」花びらが池や湖に広がれば「花の浮橋」。川に広がって長い筏のようになれば「花筏」。
朝のしずくで花びらが潤んでいるような早朝の桜は「朝桜」。花びらが吹雪のように舞う姿は「花吹雪」。遠くから見た満開の桜には「花霞」という言葉が似合うもの。
桜を愛でる「花見」は「桜狩り」や「花の宴」、あるいは「観桜」。愛でる人は「桜人」。
遠くから群生した桜を見ると「花霞」が掛かり、一本ですっくと立つ孤立した桜には「侘桜」という言葉が付けられる。
風流の発露であったり、行楽のうたい文句であったり。桜にまつわる言葉だけで一冊の本が出来るほど。これほど人生と密着した言葉はほかにないでしょう。
そんな桜もソメイヨシノの時期は過ぎそうですが、もともと桜は100種以上の品種があるもの。これからが見頃のものだってたっぷりと残っています。私の好きな枝垂れ桜もこれから「初桜」が咲きそうです。
急いては事を仕損じる。慌てなくても、桜の季節はまだまだ続きます。
[0328 - 3734]