この続きはコーヒーと一緒に

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ バンクシー流の自由と平和 ≡≡

慌てるな。焦るな。
平和の訪れを待て。

 昨日の朝、時事通信は「ウクライナ・キーウ郊外で発見されたバンクシーインスタレーションが剥ぎ取られるという事件が起こった」と伝えた。『ガスマスクを着け、右手に消火器を持った女性を描いた作品で、壁面から剥ぎ取られたまま無傷で回収され、警察に保管されているという。
 すでに現行犯で逮捕された犯人グループは「作品を売ってウクライナ政府に寄付したい」と言っているらしい。

 好意的に捉えると、犯人も「国をなんとかしなければ」という焦りから犯行に及んだのだろう。

 だが、間違っている。何から何まで間違っている。心情は理解できるが、あまりにも短絡的だ。簡単に“歪んだ正義感や愛国心がそうさせた”では済まされる問題ではない。

 そもそも、世界中がその一挙手一投足を注視している戦時中だというのに、どうやって売りに出すつもりだったんだろう。
 万が一買い手が付いたとしてもどうやって輸送するつもりだったんだろう。
 壁から剥ぎ取る時に傷をつけるかもしれないとは考えなかったのだろうか。
 ウクライナバンクシー作品が自由と平和を守る象徴だということに気付かなかったのだろうか。

 一方、作品が描かれた環境を考慮すると、新たな空襲で破壊されることも考えられる。だが、戦火をくぐり抜けることのできた作品には金銭では取引ができないほどの価値が付くのは確定的だ。ある種、11世紀に建立され、その後戦火の中をくぐり抜けて、18世紀に完全に再現され、今では世界遺産に登録されている『キーウのソフィア大聖堂』に匹敵するほどの価値があるものだ。

 いつ勝利の日を迎えるかは誰にも予想できないが、必ずウクライナに平和は戻ってくる。犯行に及んだ彼らには「終戦まで大切に保存することこそウクライナ人に課された使命なのだ」ということを肝に銘じて理解してほしい。

 ウクライナに平和を。バンクシー作品に安住の地を。
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[season13┃04 NOV. 2022 ┃18:20 JST
小雪』‥紅葉は最終章へ。山にはハラハラと雪が舞う。
AUTUMN SCENE:suwa-jinja, nishi-nippori, arakawa city
Photographed on  02 DEC. 2021