∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 何のための育休 ≡≡

子育ては休暇じゃない。
リスキリングとの両立は
机上の空論でしかない

 岸田総理が自民党議員からの代表質問に答える形で「育児休業中の人らのリスキリング(学び直し)を後押しする」と答えたことで波紋が広がり、野党からは批判の声が上がっている。

 当然だ。野党でなくとも「現実を知らない」「自分で子育てしてみろ」と大声で言いたくなる。

 たしかに子育ては“現金収入を伴わない作業”だが、ヒトとしてはこれほどの一大事業はない。それなのに、男親ひとりで子育てをしているというケースもあるが、私を含めたほとんどの男性は事業の大半を母親に任せてきた。
 彼女たちは自分の子供がすくすく、のびのびと育ってくれることを願って24時間態勢で取り組んでいる。その時間割の中に「自分の時間」は1秒もない。特に生後間もない子供がいれば「すべては子供のため」になるのが当たり前。とても自らのスキルアップに費やせる時間など探し出せない。

 そんな当たり前のことを知ってか知らずか、総理は育休中のリスキリングを応援すると言っているわけだ。「的外れもいい加減にしろ」である。

 総理やその周辺の人たちは、子育てが自由時間のたっぷり取れる楽しい時間だと考えているのだろうか。

 子供が育っていくのを見つめるのは至上の喜びである。だがそれは、身を削って育ててきた自分たちの分身が大きくなっていくという実感があるからだ。
 世の親たちの中に“将来を見据えて、自分時間を優先しながら育てていたら、なんとなく大きくなった”と考えている人たちなどいない。

 もし答弁どおりに総理を頂点とする政府が「育休と勉強は両立する」と考えているのなら、異次元の少子化対策を一から見直していただきたい。

 異次元の子育ては机上の空論では解決しない。
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[season13┃30 Jan. 2023┃12:20 JST
:SNOW covered RAILWAY:
JR mikawajima, arakawa city
Photographed on 07 Jan. 2022