半導体の集積度は毎年2倍になる
『Introduction to VLSI System』
カーバー・ミード著(1965年)
今や、コンピュータにしろスマートフォンにしろ、あらゆる電子機器に使われているマイクロプロセッサは、これがなければ生活そのものが成り立たないといっても差し支えないほど重要な電子機器になっている。
そのマイクロプロセッサが誕生してから約30年後、Windows95がデビューしたのをきっかけにしてパーソナル・コンピュータ(以後:PC)の時代がやってきたのはご存知のとおりである。
数日前「ロバート・ノイス氏とともに1968年にインテル(intel)を創業してマイクロプロセッサを開発したたゴードン・ムーア氏が亡くなった」というニュースが世界を駆け巡った。
現在のコンピュータの基礎理論作りには数人の数学者や物理学者が貢献したと言われている。そんな理論を商業的に成功させる基礎と道筋を築いたのがゴードン・ムーア氏である。
今、我々が気軽にPCやスマートフォンを操れるようになったのも、氏が共同創業者のロバート・ノイス氏とともにインテル(intel)を創業してマイクロプロセッサを誕生させたからと言っても過言ではない。
氏は集積回路作りの根幹を成す半導体の開発に尽力し、その研究のなかから「半導体の集積度は毎年2倍になる」という言葉を残している。
ユーザー目線に立って極端に簡単に言えば「半導体の性能が上がれば電子機器の能力が高まってサクサク使えるようになる。その性能は毎年倍々ゲームで高まっていく」というものである。
たしかに氏の推測通り、今も毎年のようにPCの性能は高まっている。しかも、集積回路のなかで活躍するWindowsのようなOSの性能も上がり続けている。
そのおかげでユーザーからは「買ってから1年も経っていないのにもうスピードの遅い旧型になってしまった」という“悲喜劇”まで聞こえてくるようになっているのは御存知の通りである。
私が、ワープロ専用機に別れを告げて、初めてPCに触れてから30年弱。これまで何度も「コイツ、早いなあ。欲しいなあ」と感じてきた。そして、そのたびに「ムーアの法則通りだから仕方ない。これほど向上スピードが早いと財布の中身が追いつかない」と諦めてきた。
コンピュータを始めとした電子機器の可能性を無限大にまで拡張したゴードン・ムーア氏。その業績がなければ現在の生活は成り立っていない。
ここで改めて、哀悼の意を表したい。安らかにお休みください。ありがとうございました。これからも私はPCの性能向上に振り回されながら生きていきます。
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[season13┃27 Mar. 2023┃13:05 JST]
┃CHERRY BLOSSOMS in YANAKA 2/9┃
yanaka district, taito city.Photographed on 02 Apr. 2022