∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ べったらの季節 ≡≡

秋半ばということで
東京名物を食らうとするか

 秋半ば。今日明日は日本橋小伝馬町あたりでは寶田恵比寿神社の祭礼に集まった多くの出店でべったら市が行われる。

 神戸で生まれ育った私は東京の下町で暮らすようになる前は「べったらみたいな甘い漬物なんて……」と思っていた。本気で食べるようになったのはここ数年と言っても大袈裟ではない。
 東京の郷土料理として知られているべったらは、塩で下漬けした大根を米麹と砂糖や水飴で漬け込んだ漬物で、「食」の名物が少ない東京では珍しい食べ物と言ってもいいものだ。
 大根の辛味と塩気の上に米麹や砂糖などの甘みが絶妙に重なり合ったその味は「妙味」というに相応しいもの。甘い漬物ということでローカルな人気に留まっているが、一度好きになると無性に食べたくなる不思議な魅力を持っている。

 たくわんのように薄切りされたものなら、東京の場合、スーパーでも手に入る。だが、小伝馬町のべったら市で売られるべったらは一本売りや半分売りがほとんど。つまり好みの厚さに切って食せるわけだ。ちなみに私の好みは3ミリくらいの薄切りにしたものだ。
 しかも、べったら市なら「漬け込んだ大根葉」がおまけについてくる。実は、辛味+塩気+甘さの上に葉っぱの青っぽさが加味されたこいつがウマいのだ。渡しの場合、正直なところ、本体より先につまんでしまう。
 量に限度があるのか、多めに欲しいとリクエストしても増やしてくれないため、余計に “飢餓感” が増すのかもしれない。

 サッ、べったら買いに行こう。えびす講のお参りは二の次になりそうだが、神様にはきっとお許しいただけるはずだ。
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[season13┃19 Oct. 2023┃11:15 JST
┃TOKYO : no one, no sound, no wind┃
tsukiji bei(corrugated wall), yanaka, taito city.
Photographed on 01 Sep. 2022