∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

〓〓 東京風の「鍋焼きうどん」 〓〓

久々に出会った “美味い東京風”

 私は冬になると「鍋焼きうどん」が無性に食べたくなるオッサンである。うどんそのものにも三代うどんと呼ばれている讃岐、稲庭、水沢を始めとしてうどんのコシや幅の違いなどを入れると多種多様。タネ(今風に言うとトッピング)やツユ(これまたいま風に言えばスープ)の種類まで合わせると数え切れないほどの種類がある。鍋物の〆に入れるものまで含めると米に続く国民食と言っても過言ではないだろう。

 そんな多彩なうどんメニューの中に「鍋焼きうどん」と呼ばれるカテゴリーがある。東京風もあれば、名古屋の味噌煮込みうどんのように慣れるまではうどんが生煮えのように感じるものもあるし、キムチうどんのように辛さがたまらないものもある。すき焼きの〆のように甘じょっぱいツユに牛肉やネギが載っているものもある。

 私は、小鍋にうどんとツユを張って、何種類かのタネを入れて煮込むという「煮込み」こそ「鍋焼きうどん」の前提条件だと信じている。
 その条件を満たした上で、鶏肉、海老天、卵焼、紅白のかまぼこ、斜めに切ったネギ、生玉子、青み野菜などがほどよく載せてあるのが東京風だと信じているのだが、実は今、この条件を満たしたものが少なくなっている。
 大釜で湯掻いたうどんとツユを小鍋に入れて、小綺麗にタネを散らし、ひと煮立ちさせただけでは「鍋焼きうどん」ではない。つまり「鍋焼きうどん」と名乗る以上、うどんとタネを小鍋で “煮込んで” 出汁の旨味が食材に染み込んでいないといけない。一般的なうどんの作り方でそれを装う “簡易型” は「鍋焼きうどん」ではない。

 正統派の「鍋焼きうどん」が食べたい、それも東京風がいい。……私はこの冬もここぞと思えるようなうどん屋蕎麦屋に入ってはそのたびに失望させられてきたが、やっと今日そんな孤高の「鍋焼きうどん」に出会うことができた。ツユは多少甘め過ぎたが、うどんのコシはしっかりとしているし、海老天も、衣ばかりが大きい紛い物ではなかった。もちろん、ランクA+++であることに間違いはない。

 冬も最終盤に近くなっての出会いだったが、春になるまでにあと何度か通ってみる価値はあるだろう。

 ごちそうさまでした、美味かったです。

≡≡[season14]24:50/Feb.10/2024 -立春-≡≡
┃ARE YOU READY?┃
-Spring beyond the cold weather-
Taishakuten, Shibamata, Katushika city.
Photographed on May.03/2022