∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

冬の光。白い光。

デリケートで優しく、すべてをフワッと包みこんでしまう光、それが冬の光である。
太陽だって午後半ばを過ぎると真横から射してくる。だから、すべてのものに正面から光が当たるようになり、顔なら顎の下、家なら屋根の下というように夏なら影になってしまうところまでボンヤリと明るく見えるようになる。
日没の光ならどんな季節だって同じだろうと思うとそうでもない。太陽が早い時間から低いためか、横から光が射す時間が長い。そして、弱い。
こんな光だから、すべてのものが創りだす光のコントラストも低い。だから、どんなものでもフラットな表情になって、ほかの季節には気がつかなかった全体像が見えてくる。
僕は、なんでも見せてしまう冬の光が魅力的でもあり、苦手でもある。きっとその時の精神状態や対象物によって気持ちを切り替えてしまっているのだろう。見えなかったものが見えてくるのはいいが、すべてが平板に見えてしまい、世の中が「味気なく、魅力に欠けるもの」に見えてしまうのだ。
しかし、そんな冬の光をオランダ生まれのレンブラントは効果的に活用した。彼が肖像画を描くときに用いたレンブラントライトがそれである。逆光気味の光とレフ板で印象的で人物が浮かび上がるようなコントラストを創り出した。風景画や宗教画で用いられた強い逆光も同じ名前で呼ばれているが、僕はあえて違うものだと勝手に解釈している。
余談だが、『ペルソナ』や『叫びとささやき』などでも知られるスエーデンの映画監督、イングマール・ベルイマンの作品に『冬の光』というのがある。『神の沈黙』の第二部として発表された作品だが、狂気のなかで演出されたと言われているほど難解だが、モノクロームの光と影を演出要素のひとつにした作品でもある。
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