∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

今日はヒールが取れた

【駅の階段にて】

 カクン。今日の午後、駅の階段を上がっていた時でした。階段を上がりきった所で、いままで知らなかった感覚に襲われました。歩くたびにカクン、カクンとバランスが狂うんです。それも左足だけ。何が起こったのかと見たところ、どこもおかしくないのに、歩くと身体が左後方に揺れるんです。
 人の流れから離れて自分の靴をじっくりと見たところ、なんと、左足のヒールがないんです。女性のハイヒールが壊れたところを目撃したことはありましたが、まさか男の革靴から取れるなんて、初めて見ました。しかも自分の靴。こんなことになるなんて想像もしませんでした。

 今日は硬質ゴムのラギッドソールがついたドレスカジュアルの靴を履いていました。その靴にとってソールは重要なアクセントになっています。しかし、デザインと価格のバランスを取るために、ヒールは同素材のものを後から接着したものになっています。そのヒールがポコンと取れたんです。

 こうなると恥も外聞もありません。ロスタイムだってやむを得ません。身体をギッコンバッタンさせながら上がってきた階段を降りながらのヒール探しです。
 階段を上がり始めのところに黒い物体が見え、人々が避けながら上がってくるのが判りました。「アッ、あそこだ」。走るワケにもいかず、人の流れに逆らいながら下を向いて降りていって「大切なもの」を拾い出し、ソッとポケットへ。
 下を向き、早足で、何くわぬ顔をして。二度目の階段上がりは「とにかく早くここから逃げ出したい」という気持ちでいっぱいでした。しかし、よく考えるとこれから電車に乗るのです。混んでいれば足元まで見られないだろうと思いましたが、午後半ばという時間帯だけに電車は空いていました。またもや何くわぬ顔をして次の駅で降り、大急ぎでコンビニに飛び込みました。強力接着剤を買ったら今度はトイレです。個室で取れたヒールにタップリと接着剤を付けてギュッと押さえ、その場でメンテナンスしました。
 2〜3分ほど左足のカカトに重心を置いたままで過ごし、ソッと仕上がりをうかがってみると大丈夫そうでした。「ヨシ、これなら」とトイレから何食わぬ顔で出て目的地へ向かいました。なんとか持ちそうです。でも次に履く時は不安です。いや、きっともう履かないと思います。

 ウーン、ビックリ。マイッタ、マイッタ。こんな経験は初めてです。昨日のキーボード事件といい、今日のヒール事件といい、どうして思いもよらなかった事件が起こるんでしょう。何か、神様からお叱りを受けるようなことをしているのでしょうか。早いうちにお祓いしたほうがいいかもしれません。

 それにしてもヒールが取れても階段を上がっている時には判らないんですね。ひとつ勉強しました。

[1899]