∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 「ー」はどこへ行った ≡≡

書き手によって変わる“薄い存在感”

 昨日は「ヴ」の行く末について書き込みましたが、今日は「ー」について。いわば“おまけ”とご理解いただくのがよろしいかと。

 「コンピュータ、データ」それとも「コンピューター、データー」? 皆さんはどちらの表記のほうがすんなりと読めますか。
 正確に言えば「長音」、文字を業とする人間なら「音引き」と言う「ー」が語尾に付いている外来語をどう表記するかはかなり前から混乱の元になっていました。
 実はこの問題、母語の語尾が「er」にならカタカナ表記には「ー」を使うのが外来語表記の原則のはずなのに、どんなに時代が変わっても、揺らぎ続けていると言っても差し支えないテーマなんです。

 そんな大原則ですが、これまでは大雑把に「理系はなし、文系はあり」というので突き詰めることから逃げてきました。しかしここへ来て、少しずつ「ー」を書かない方向に変化してきているような気がしています。

 特に、スマホで文章を読む機会が増えたここ2~3年その傾向が強くなったのではないでしょうか。
 スマホでは、1行で表示される文字数に限りがあります。しかも、長文であれば何度もスクロールを繰り返さないと読み切れません。
 この独特の字組特性は意外とイラつくものです。ならば、省略しても意味が通じるものは字数を減らしてストレスの原因を取り除こうというのが遠因にあるのではと僕は想像しています。

 そもそも、デジタル関連の教科書では語尾の「ー」はほぼ使われていませんでした。そうなると、覚えた時からなかったものをわざわざ書き加えるなんて、よほどのことでもない限りやりません。
 たとえば、経済学から派生した「マーケッター」は「マーケッタ」とは書きません。一方、電子工学で活用されている「コンデンサ」や「トランジスタ」は、同じように英字の語尾が「er」であるにも関わらず「コンデンサー」とか「トランジスター」とは書きません。

 日本語の“器用な適応能力”が為せるワザと言ってしまえばそれまで。

 「ヴ」のように消えていく字もあれば、「ー」のように書く人によってあったりなかったりしてしまう“存在感の薄い”字もある。……日本語って不思議です。


 ちなみに、僕は……成り行き次第、です。

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