いつの間にか
古き佳き想い出にひたる場に
昔、お世話になった方が新しいお店を出されるというのでお祝いに。とはいっても、気持ちだけ「祝開店」で手ぶらでしたが。
池上線のとある駅から数分、住宅街のど真ん中にそのお店はありました。入ってみると、その方が若い頃から取り組み、いまやライフワークになっている商品がズラリと並んでいました。
「モノの善し悪しが判る人には判る」という名品らしい風格を備えた外観、モノづくりに隠された秘密、節度ある価格。どの商品も「我がモノづくり、ここにあり」というメッセージが伝わってくるものばかりでした。
そんな逸品を見せてもらっているうちに、一時はのめり込み過ぎるほど、のめり込んでいたのに、あることをきっかけにして心の奥底に仕舞い込んでしまった記憶や想いが蘇ってきたような錯覚に陥ってしまい、自分でもびっくり。やはり良質なものを見ていると、いくら封印したつもりでも、上質なモノを見せられると積み重ねてきたものが出てくるのかもしれません。
そんなところに氏のお知り合いの方がいらっしゃいました。
あと数年で100歳になろうかという年齢にも関わらずかくしゃくとなさっているこの方、昔の職場やその重鎮のことをよくご存じなうえに、当時の風景もよく覚えていらっしゃる方でした。
この御老体の登場で開店祝いはそっちのけになり、引き込まれるようにお話に聞き入ってしまいました。成り行きとはいえ、封印はしていないけれど記憶の片隅に押し込んでいた「古き良き想い出」に浸ることになってしまったのです。
「封印してきた過去との再会」と「記憶の呼び戻し」。
今日は、上質なモノを愛でるだけでなく、古き佳き日々を振り返らせてくれる豊かで素晴らしい一日になりました。
長嶋さん。臼井さん。ありがとうございました。お会いできて幸せでした。
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