∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ プロパガンダとSNS ≡≡

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プロパガンダを知ることで
SNS上の誹謗中傷との
付き合い方が分かる

『戦争プロパガンダ10の法則』
アンヌ・モレリ著 永田千奈訳(草思社文庫・2015年2月9日発行)
(底本:『戦時の嘘』アーサー・ポンソンビー(1928年刊))

第1章「われわれは戦争をしたくない」
第2章「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」
第3章「敵のリーダーは悪魔のような人間だ」
第4章「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」
第5章「われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが、敵はわざと残虐行為におよんでいる」
第6章「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」
第7章「われわれの被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
第8章「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」
第9章「われわれの大義は神聖なものである」
第10章「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」

 イギリス貴族、アーサー・ポンソンビーは第一次世界大戦時(1914~1918年)に作り上げられたプロパガンダを『戦時の嘘』というタイトルで一冊にまとめた。そして、その本を研究したベルギーの歴史学者、アンヌ・マレリは第二次世界大戦以降の戦争で飛び交ったプロパガンダも含めたうえで底本で述べられていたことを、この『戦争プロパガンダ10の法則』で証明していった。

 前置きが長くなってしまった。

 この本を書店で偶然見つけて何気なく買った私は読み始めた途端、その内容に引き込まれてしまい、一気に読んでしまった。
 読み始めてすぐに章ごとのタイトルがそのまま今も通用していることにも驚いたが、同時に(訳者あとがきでも触れられていることだが)SNSで繰り広げられている誹謗中傷や捏造の意識構造や戦略意識がそっくりそのまま当てはまる点に気がついた時は、すべてのSNSリテラシー問題に合点がいったような気持ちになってしまった。

 そもそも、戦時プロパガンダにはいくつかの手法があると言われている。「自軍と自国向けの戦意高揚を図る誇張」と「第三国に対して発信する戦闘行為の正当化と敵の卑劣さを騙る嘘」、そして「敵に直接届くように図った恫喝」などが代表的な手法である。
 第二次世界大戦時で多く使用された手法と、現在のウクライナ侵略で毎日のように発信されているものという違いはあっても、基本的な手法構造に変わりはない。国内への宣伝が主だった時代と、世界的な情報発信も戦略のひとつだと認識するようになった時代の戦略構造の変化と理解すればいいだろう。

 幾分論理の飛躍があるかもしれないが、現在ロシアが行っているプロパガンダSNSでの誹謗中傷は、両者とも100年以上前に構築された意識操作の手法がそのまま使われていると言い切っても差し支えないだろう。

 そんなプロパガンダの嘘を見抜き、捏造や虚言を否定して反論するためには事実の収集と蓄積、そして冷静で客観的な立場を保ち続けることが欠かせない。
「振り回されない」。「簡単には信じない」。「常に事実を注視する」。「私情で判断しない」。今、我々に求められているプロパガンダ対策はこんな姿勢に集約されるのかもしれない。
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[season12/0416/25:45]
清明』‥春の息吹きが、万物に溢れるほどの生命力を与える頃。
清明末候』‥虹始見(にじはじめてあらわる)。雨後の虹が幸運を呼ぶ
photograph:cherries are out of bloom, nishisimbashi, minato city
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