-『清明 鴻雁北』-
南方からツバメが渡り来る頃
雁は北方に旅立つ。
人生も
行ったり来たり、上がったり下がったり
昨日4月10日は、二十四節気の『清明』の次候「鴻雁北(こうがんきたへかえる)」だった。極寒の地から渡ってきた多くの渡り鳥のなかで最後まで残っていた雁が、北帰行を始める時期だと七十二候では解説している。
昨年晩秋、極寒のシベリアから渡ってきた雁が古巣へ戻る頃になると、入れ替わって、南方からツバメが渡ってきて巣を作り、子を育てる。本能の為せるワザとはいえ、永々と続く自然の循環には神秘的なものさえ感じてしまう。
渡り鳥たちは、心地よく過ごせる場所を探し、子孫を残すために毎年数千キロの行程を行き来しているのだろう。けっして、逝くための終の棲家を探すために飛来しているしているわけではない。
人生も行ったり戻ったりの繰り返しなのかもしれない。前へ前へと歩んでいるつもりでも、長い目でみれば「行ったり来たり、上がったり下がったり」。心地よく過ごせる時もあれば、厳しい環境に身を置くこともある。
人はそんな道程のなかで遭遇する新たな経験を、蓄えとしたり戒めとしたりしながら歩み続けるものである。
平坦でもないし、快適なことばかりでもないからこそ、何かを探し続けて歩き続ける。だからこそ、人生は味わい深くおもしろいのだろう。
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[season13┃11 Apr. 2023┃11:15 JST]
┃CHERRY BLOSSOM in YANAKA 5/9┃
kanhi-zakura, ueno park, taito city.
Photographed on 09 Mar. 2021