【皆さんは、まだ様子見ですか】
ご存知のように今年の4月から電力が自由化されます。皆さんはこの自由化をどう捉えられていますか。
「そもそも自由化って何だ」という方もいらっしゃるでしょうし、「検討をし始めた」あるいは「プランが出揃ったところで考えようと思っている」という方もいらっしゃるでしょう。なかには「どんなプランが出てきても、わずかな差しか出ないだろうから現状のままでいい」とか「難しそうだから考えたくもない」という方もいらっしゃると思います。もちろん、電気を「作る企業」と「売る企業」が違うなんてイメージが湧かないという方もいらっしゃるはずです。
正直なところ、僕も比較することなんてできません。なにしろ、比較できる情報が少なすぎます。比較サイトと銘打ちながら従来の電力会社のプランしか引き出せないサイトや、金額やプランに具体性のないサイトがまだまだ多い状況ですからね。
こんな状況ですが、僕は従来の電力会社との契約は見直したいと強く思っています。
僕は以前から、大きく言うとふたつの理由で「電気代」に疑問を持っていました。その第一が、産業の基幹として、電力会社は安定した経営と安全な供給が成されなければいけないということで産み出された、原価が上がれば速やかに販売価格を上げるという「総括原価方式」の理念が、いつの間にか「電力会社は王様」という体質を生み出したように思えることです。そして次が、売電された再生可能エネルギー向けの経費は「燃料費調整額」という名で消費者が負担するようになってしまったことです。
原価が変われば、その月から料金を変更させるのが当たり前の業界ってほかにあるでしょうか。百歩譲ってあるとすれば、生鮮食料品や海産物くらいのもの。それだってエンドユーザーと直面する小売業者はギリギリまで利益を削って安定した価格で提供しようとしています。それなのに総括原価方式を取る業界は、大災害でも起こらない限り、利益を確保するのが当然だとしてきました。
この姿勢、どこか違うと思うんです。素朴な疑問として捉えていただきたいのですが、「安全で安定した電力供給」に必要なキャッシュフロー以上のものを得ていたのではないか、国もそれを利用してきたのではないか、と勘ぐってしまっているのです。
そんなエネルギー業界にとって、企業の計算だけでは利益は上がらないという当たり前のことを突然突きつけられたのですから、今回の電力自由化は想像以上のショックだったと思います。しかし、これが時の流れ。甘えは許されない時代になったと思いたいところです。
電力の元売価格が変わらないのだから料金に大きな差が出るわけはないし、自家発電しないかぎり負担だって考えているほど減らないことも理解しています。しかし、せっかく「エネルギーを売ること、買うこと」の意味を捉え直す時が来ているのです。「市井のエンドユーザーが社会の体質を変えられる」チャンスがやってきたと言ってもいいのではないでしょうか。
あと2カ月ほどしかありませんが、これから続々と出てくるはずの各社の料金プランを見つめながら「汗を流している」新電力企業を探します。
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