生前退位による改元
明日から令和。新しい時代が始まります。
率直に言って、崩御に伴う改元が重苦しい空気の中で行われるのに対して、生前退位に伴った改元がいかに希望に満ちたものかを知ったような気がします。
何かが変わっていく気持ちにさせて、すべてのことを前向きなものに変えてしまうのが今回のような改元の力なんでしょうか。
新しい元号が発表されて以来、出典や意味、政治的な思惑や思想的な主張など多くのことが大きな声で繰り返し語られてきました。これも生前退位に伴う改元だからこそのものなのではないでしょうか。なにしろ、元号予想なんて企画まで生まれましたからね。
崩御に伴った場合は新たな元号を静かに受け入れるか、とにかく反対と意思表示するか、どちらかの選択肢しかない場合と比べると大きな違いです。
昭和天皇が太平洋戦争の敗戦によって人間宣言をしたことから天皇制は大きく変わり始めました。
その思いや願いを間近に感じ、引き継いだ上皇は「政治に関与しない国民の象徴」という漠然とした命題と真摯に向き合い、国民との対話を続けることで、変わることはないと思われていた「伝統という名の究極の権威」に大きな変革を成し遂げられました。
そして、その道筋は令和に引き継がれるものと確信しています。
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