∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 豪雪による立ち往生 ≡≡

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やっと開通。まずはひと安心

 「予測を超える積雪で2000台以上の車が立ち往生していた関越道がようやく2日ぶりに開通した」というニュースを聞いて、数年前に私自身に起こった“雪のバイパス・立ち往生事件”を思い出した。


 場所は八王子バイパス京王線北野駅を過ぎた辺り。上り坂が始まった所。時間は夜12時頃。雪は降り続けているけれど、新雪なのでスリップの可能性は少ないだろうと思っていたのだが。

 その場所に至るまでもストップアンドゴーを繰り返していたので、前を走る大型トラックが停車しても何も感じなかった。
 ところが、しばらくするとそのトラックの運転手が歩いてこちらに向かってきたのだ。何事かと思い、窓を開けて挨拶すると、彼は「とうとう停まりましたよ。これはしばらく掛かりますね」と言い残して、遠くに見えるコンビニに向かって歩き出した。よく見るとほかにも数人が停車中の車の列を通り抜けて同じ店に向かっていた。
 私は“ここで走り始めたらどうするんだよ”と思い、そのまま車の中に留まることにした。あとになってこれが素人考えだったことに気がつくが、その時は単なる渋滞だから待機するのが最善と思えたのだ。道路上で閉じ込められた経験のなかった私には、これが立ち往生だということが分からないだけでなく、対処の方法も思いつかなかったのだ。

 彼が車に戻ってからしばらく経った頃、その車の近くに数人のドライバーが集まりはじめたので私の参加することにした。渋滞の具合いから、その車の出発地や行き先、ここまで来るのに何時間掛かっているのかなど長距離トラックならではの「井戸端会議」が始まっていた。
 彼らは、いわばオブザーバー参加だった私に雪の高速で立ち往生したらどうすべきかを教えてくれた。彼らいわく、停まったら食料と水の確保と燃料の残量だけに注意を向けるだけにして、静かに動き出すのを待つことということらしい。
 ちなみに私の前に停まっていた大型トラックのドライバー氏は、新潟を出発して東京までに渋滞や立ち往生で20数時間掛かっていると教えてくれた。

 それから数時間。夜明けから数時間経って周囲の状況が視認されるようになった頃、ようやく立ち往生は解消し、私も路側帯に積み上がっている雪を見ながら脱出した。

 一睡もせず、深夜から早朝番組へと変わっていくラジオを聞きながら、キャンディ数粒とタバコ数本で過ごした数時間でも落ち着かず不安さえ覚えていたのに2日間とは。
 周囲で除雪作業が進んでいるのを見ながらのこととはいえ、不安と諦め、空腹やガス欠、同じ風景が何10時間も続くことから起こる精神的な不安定感など立ち往生したときには独特のストレスが掛かるものである。
 そんな厳しい状況に耐えたドライバー諸氏に、心から「おつかれさま、少しゆっくりしてください」と言わせていただきたい。

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