∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ エネルギーが金融のカギを握る ≡≡

f:id:Yutaka_TAWARA:20210319121516j:plain

ルーブルで償還される
ロシアのドル建て国債
ここでもエネルギー問題が
カギを握っている

─ ─ ─ ─ ─ ─
4月6日。ロシア財務省は4月4日に償還期限を迎えていたロシア国債ルーブルで支払ったと発表した。
 これに対して、アメリカは支払い拒否の姿勢を示し、同時にアメリカの銀行が受け取ることも禁止している。
 また、ほかの多くの国ではルーブル払いは契約違反として30日以内のドル建て償還を求め、一方的な通貨変更を拒否する姿勢を示している。万一、ロシアが30日以内にドル建て支払いに応じない場合、ロシアはデフォルト(債務不履行)に陥ることになる。
 なお、現在ヨーロッパ諸国で公に受け取ると発表したのは親ロシア派のハンガリーだけである。

4月6日モスクワ為替市場終値。1ドル=79.7ルーブル(対ロシアSWIFT規制発表直後は121.5ルーブル)で通常の値に戻っている。
─ ─ ─ ─ ─ ─

 それぞれの行動を切り取れば、事実としておかしなところはひとつもない。だが、ロシアがルーブルの金融価値にここまで強気でいられるのだろう。
 厳しい金融制裁を受けているので、約束を破ってもわがままを通すというのなら理解出来る。しかし、彼らは虚勢を張っているのか、あるいはこれも戦略の一部なのか、とにかく自信満々である。最終局面に至って国際的にデフォルトと認定されることになることが予想されているとしてもだ。

 アメリカの金融関連通信社「ブルームバーグ」の記事を読み解くと、ロシアから石油や天然ガスなどの供給を受けている限り、エネルギーがロシア経済を下支えするため、ロシア経済は破綻するどころか、むしろ前年よりも状態は良くなるらしい。
 おそらく、ロシアはエネルギー輸出が止まることはない(つまり収入が途切れることはない)と読み切っているのだろう。
 だからこそ、準備段階でルーブルを国が買い支えて下落を防いだうえで、ルーブルによる国債償還という手段に打って出ることが出来たのではないだろうか。そうでなければ、たとえ中国の支援があるにしても、保有する金やレアメタルを投げ売りしてドルを作っているはずだ。

 ロシアはしたたかである。

 エネルギーの供給源を握っている限り、西側諸国の制裁には限度があるという事実を戦略のひとつとして最大限に活用している。

 西側諸国がこの思惑に対抗する(つまりルーブルの価値を下げて国力を削ぐ)ためには、石油や天然ガスの輸入を止めるしかテはない。しかし、そうなるとドイツやフランスはエネルギー・インフラに極端な値上げが起こる。最悪の場合は供給不可能という事態に追い込まれるかもしれない。日本でも電気代やガス代は信じられないくらいの高値に跳ね上がるだろう。

 今、ヨーロッパで起きた侵略戦争が世界中をエネルギー不安、ひいては政情不安に落とし入れようとしている。あくまでも平和的な解決を望み、結果が出るまで時間の掛かる制裁措置に頼リ過ぎていると我々が払う代償は計り知れない。
 できるだけ早く即効性のある制裁手段を実行しないことには、我々の生活は文字通り「アップアップ」になること確実である。なんとか、これ以上アリ地獄に入り込まないように願うばかりである。
__________________________
[season12/0407/25:30]
清明』‥春の息吹きが、万物に溢れるほどの生命力を与える頃。
清明初候』‥玄鳥至(つばめきたる)。新たな生命の尊さを感じる。
photograph:SOMEIYOSINO at hanazono-jinja, shinjuku city
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄