∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 旧態依然とした情報戦術 ≡≡

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ロシアが見誤った
軍事学の常識

 最初に言っておこう。「事実上、ロシアは確実に負ける」。

 徹底した諜報活動とオルグ、恐怖で支配する指揮命令系統、力とスピードでねじ伏せる戦術、自国民だけでなく世界までも騙すプロパガンダ、事実の隠蔽と否定。
 チェチェン紛争やクリミア侵略など、ロシアは古典的な軍事学と諜報活動の常識を信じることで支配力を拡大してきた。

 しかし、ウクライナではそんな(古典的な)軍事学が完全に否定されて予想外の苦戦を強いられた。早晩“名誉ある撤退”や“誇張した領土拡大”あるいは“最高司令官の交代”などの声明を出して今回の戦争を集結させる行動に出てくるだろう。

 今回の侵略で、ロシアには、ウクライナの軍事力と団結力やアメリカからの予想以上の情報提供、ヨーロッパ各国からの制裁を伴う拒否反応、ウクライナに対する手厚い支援など計算外だったことが次々と起こった。
 しかもSNSという名の強敵を侮ってしまうという決定的な失策を犯してしまった。

 ロシアだけでなく日本もアメリカも、従来の戦争ではどんな悪辣で非人道的な戦術を使っても、その場で世界中に知れ渡ることなどなく、多くの事実が戦争終結後に明らかになっていた。

 しかし今回は、アメリカからの詳細な諜報情報の提供や、衛星回線によるインターネット網の維持など、ここ数年の間に確立されたテクノロジーと戦略が駆使されるようになった。
 なによりも、世界中から“IT戦士”とでも言いたい民間人が参戦したり、現地に住む住民からは時々刻々と“今”の映像が世界中に発信されるという“被害者自身がジャーナリスト”になったりという予測外の事態が起こり、想像以上の威力を発揮することになった。

 こんな状態では、旧態依然とした軍事学で動くロシアが、戦闘を優位に展開できるワケがない。こんなはずではなかったと思っても後の祭り。こうなると、的はずれな意趣返しで虚勢を張ることでしか力を誇示することもできなくなる。
 だが何をやっても、世界中が瞬時にその行動を把握しているため、次々と批判を受けることになって、あがけばあがくほど窮地の奥底へ入り込むことになる。

 動きのすべてがバレバレになっていて勝てる戦争などない。奇しくもウクライナ軍事学に新たな地平を開いたのだ。
 ここからはロシアがいつ覚悟を決めるか、どんなこじつけで終結させようとするのかに注目が移っていくだろう。西側諸国による“あとひと押し”がすべてを決めるはずだ。
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[season12/0406/25:30]
清明』‥春の息吹きが、万物に溢れるほどの生命力を与える頃。
清明初候』‥玄鳥至(つばめきたる)。新たな生命の尊さを感じる。
photograph:SOMEIYOSINO at hanazono-jinja, shinjuku city
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