∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

大正の旧宅

千駄木の邸宅】


 何か悪いことでもしたのでしょうか、いまひとつ調子が戻りません。風邪? それらしき症状があるとは思えないけれど、なんだかダルイしなあ。
 でも今日は日本ナショナルトラスト主催の「安田楠雄邸と江戸指物展」の最終日だから行きたいしなあ。
千駄木の丘の上にあるお宅です。これまでも「立派なお宅だなあ」などと感じてはいましたが、団子坂上から動坂へ抜ける近道にあるお宅としか意識していませんでした。ところが今回は江戸指物の新作展示もあるとのことで、せっかくのチャンス、ちょっと頑張って行ってしまいました。


 玄関の間で畳を保護するためにボランティアの方がパンツの裾を折ってくださった後、お宅の中へ。大正9年に完成したお宅で奇跡的に関東大震災にも戦災にも遭わず残った文化財だけに慎重です。
 どのお部屋も片隅には新作の江戸指物が展示されていますが、まるで最初からあったお宅の調度品のような印象で、「なるほど、江戸指物が活きる世界はこんなところか」と納得です。
 ところで、このお宅、大正9年建設なのに、お風呂はガス給湯式、電気は分電盤式、床下収納とインフラは近代的。現代生活の先駆けといってもいい造り。玄関先も車回しなどない、どちらかというと地味な造りです。湯島の旧岩崎邸のような豪華さではなく、森鴎外とも親交のあった先代の安田善次郎氏の「静かで上質な都市生活を送ろう」とした哲学さえも見えてきそうな邸宅です。


 と、こんな充実の時間を過ごしているうちに身体の調子も上向いてきたよう。勝手なものです。きっと気持ちの問題だったんでしょう。明日からはいつもの元気で呑気なオヤジに戻りたいものです。


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