∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

JR北海道

負の遺産


 正直に言います。僕は間違えていました。
 このところ、JR北海道で事故が相次いでいます。当初は、事故ばかり起こっているのは、保線や車両点検のシステムや人材に問題がありそうだなと感じていたのですが、どうもそれだけではなさそうです。
 先日の貨物列車脱線事故をきっかけに露見した線路幅問題には呆れ返りました。安全を確保できる幅よりも30ミリ以上広がっていたとか。これなら脱線するのは当たり前です。


 それはそれとして。当初、僕は事故が続くのは労働者側に問題があるのでは、と感じていました。というのも、JRをいつも利用している人間として「こんなに人為性を感じる事故がJRで起こるわけがない」と思い込んでいた僕は、国鉄時代の労働組合が繰り広げていた「安全性や利用者を無視した仕事態度」が北海道には残っていたんだと思い込んでしまったのです。
 しかし、今回の一連の事故はレール幅の基準値がダブルスタンダードになっていたこと、や車両検査の不徹底はあるものの、多くは経費削減のための「後回し体質」が根幹に横たわっているようです。つまり経営の問題です。
 国鉄解体時に当時から問題視されていた赤字体質を補完するために分配された資金を運用して赤字を埋めるという方針を長年続け、公共交通期間として廃線を避けることに終始して、保線や修理を後回しにするばかり。利用者数の拡大など「本業で儲ける」方策を前面に押し出さなかったことに大きな問題があるようです。つまり、鉄道屋である前にファンドマネジャーだったわけです。
 解体時の「よほどのことがない限り黒字にはならない」という烙印を押され、これでないと公共交通期間として経営維持できないという体質がもっとも問題。まさに負の遺産をいまだに引きずりながらの経営も苦しいでしょうが、同時に、「経費削減のため、急いで修理するな」と命令された現場もやりきれないと思います。


 しかし、JR四国やJR九州も同様の体質とか。つまりJR貨物を入れて全7社のうち、健全に維持できているのは半数以下の3社だけなわけです。
 この際、以前からあった、JR全社の再構築、あるいは一部の国有化の議論をすすめるべきではないでしょうか。それまでは、現場の人たちの努力に甘えながら、大事故が起こって多くの犠牲者が出ないことを願うばかりです。


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