∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

8月16日

【公務員の日】

 思い出せば今から数十年前、僕が小学生だった頃の話です。子供たちは夏休みで遊びまわっていましたが、なぜか8月16日は全校登校日でした。
 低学年の頃はなんとも思いませんでしたが、高学年になると、せっかくの夏休みなのにどうして学校に行かないといけないのか、それも休み中の諸注意や宿題をやっているかどうかの確認だけで終わってしまい、その後校庭で遊ぶことも許されないなんて、子供ながら腑に落ちなかったのです。

 と、ここで状況設定をまとめておきましょう。
 当時、社会人の給料は全額手渡しが当たり前でした。たとえば公務員は毎月16日に手渡しされていました。
 僕の母は小学校の先生でした。当時で言うと共稼ぎ。僕はカギっ子です。

 ある夏、僕は母にどうして16日は学校に行かないといけないのかを聞いてみました。母曰く「給料日だから」。
 そう、長い夏休みを過ごす子供の状態を確認するためだと思っていたのに、実際は先生が給料を手にするためには職場である学校に行かないといけなかったわけです。先生だけが集まるのも聖職にある身としては説明がつかないので、子供の顔もみておこうという発想です。早い話が全校登校日ではなく単なる給料日だったわけです。
 8月16日の登校日は僕が「大人の世界」に触れた初めての体験でした。本音を通すためには公明正大な建前を。僕にとっては、そんな大人の当たり前がこの日に表れていたと言ってもいいくらいです。

 給料が銀行振込になっても、いまだに忘れられない日が今日、8月16日です。

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