【昔の記憶が蘇った一瞬】
「書店街はどこですか」。
今日の午後、僕は神田駅を出た所で立ち止まり、グーグルマップで行き先を確認していました。そこへ漢字で書店街と書かれたメモを示した方がいらっしゃいました。
日本語がたどたどしかったので中国の方かなと思ったのですが、どうも韓国からいらした様子。韓国イコールハングルと早とちりしたのを謝りながら話を聞いてみると「神田の古書店」を訪ねていらしたようでした。
「ワアー、この人も同じ間違いをしている」。
神田の古書店は神田駅近くにあるはずと思うのは国が違っても同じなんだと内心ビックリ。道案内以前に「間違い仲間」という思いが込み上げてきました。
そうなんです。数十年前、僕が東京で生活し始めた頃、同じ間違いをして神田駅周辺をうろつきまわったのを思い出してしまったんです。
書店街と書かれたメモに「古書?」と書くとうなずきが帰ってきました。そのため、JRで赤いラインの中央線に乗って御茶ノ水まで行くことを日本語で書いたのですが、どうやら彼も昔の僕と同じように神田の古書店街だから神田だろうと思ったようです。なんとか判ってもらったあと、駿河台下や神保町方面までの地図を書き添えて案内は終了。JRの改札まで一緒に行き、彼はホームに上がっていきました。
数十年前の僕が誰にも聞かずウロウロしているばかりだったのに比べると、彼はメモを書いてでもで聞こうとしていました。海外で道に迷ったら「まず聞くこと」というセオリー通りの行動がとれるなんて、それだけでも尊敬してしまいました。
……………
それにしても、どうしてこんなに神田という名前が付く街は多いんでしょう。江戸時代に「神田」や「日本橋」が今で言う「区」の代わりをしていたということを知らない限り、現代の最寄り駅を間違えても当然です。ひょっとすると千代田区の半分くらいは神田○○町という名前なんじゃないかと思ってしまいます。
かといって町名を変えてくれと言っているわけではないので、あしからず。江戸の名残を大切にすることは道を間違えないことより重要ですから。
あのオジサンが混乱するのは当然ですが、行けば納得してくれるでしょう。そして、神田という名前が付く街がいかに多いかも体得してくれるかもしれません。
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