∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

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ノートルダム修復は
世界規模のデザインコンペで

 「焼け落ちたノートルダム寺院の尖塔の修復は世界的なデザインコンペで進める」というフランス政府の発表を知って驚きました。

 たとえ宗教施設であっても、歴史遺産でもある文化財の修復は“元通り”が基本で、どうしても完全修復が出来ない場合に限って“オリジナルに近い”修復が認められるものというのは僕の先入観だったんでしょうか。

 たとえば地震で崩れ落ちた熊本城は石垣の一つずつを文字通り“組み直して”います。また多くの障壁画は修復に使用する紙をはじめとして画材すべてに“元通り”が求められていると聞いています。
 その一方で、建立後二度消失した東大寺の大仏殿はその都度、伝承されてきた技術で“オリジナルに近い”修復”が成されてきましたが、これを修復というのか再構築というのかは判断が分かれるところではないでしょうか。
 しかし、金継ぎの技術で欠片もある壊れた陶器を漆と金で繋ぎ合わせて修復したもの、つまりオリジナルに近い形に修復されたものは文化財として認識されています。

 今回の尖塔修復はそのどちらでもなく、新たなデザインを採用しようというものです。近未来的なデザインにならなくとも現代的なニュアンスが取り入れられるのは当然でしょう。修復後数百年経った時に「文化財に秘められた歴史」として認識されればいいとなるのでしょうか。
 もっとも、焼け落ちた尖塔自体が創建後600年近く経ってから新たに付け加えられたものということを考えれば「新たな尖塔」という発想が妥当なのかもしれませんが。

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