物議を醸す画像反転
5000円札に採用されることになった津田梅子の写真が反転していると物議を醸しています。襟元をぼかして違和感がないように加工されていますが反転していることに間違いはないようです。
これは賛否両論出るでしょうねえ。
被写体が故人であること、原写真自体が著名なものでその著作権を相続している個人や団体がないと思われることなどを考えると著作人格権や財産権に抵触しているとは思えません。しかし、写真自体が著名なものだけに違和感を覚えるのは当然です。
もしこれがレコードジャケットや観光写真などの“商業利用するための素材”であれば、反転はよく使われてきた技術、いわゆる“定番テク”です。たとえばジョン・コルトレーン、ボブ・ディラン、ビートルズ……、写真を反転させてデザイン優先のジャケットに仕上げたものは数え切れないほど存在しています。
しかし、さすがに国の経済の基準でもある紙幣となると「いかがなものか」と言いたくなるのも納得できます。
紙幣のデザインと捉えれば問題はないけれど、心情的には否定的にならざるを得ないものだと僕は感じています。
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ちなみに「反転」という単語が使われていますが、反転とは白いところが黒くなっているような「ネガとポジが逆転したもの」のはずです。今回の写真のように左右が引っくり返ったものは「裏焼き」です。
“ネガ”を暗室で紙焼きして一枚の写真を創り出す作業をしたことのある人や印刷、出版などの関係者の方には「苦笑いするような違和感」があったと思います。
裏焼きを反転というようになったのは、もっとも信頼度の高い画像処理ソフト、アドビのフォトショップが一般的になってからのこと。それだけ画像をデジタル化して活用するのが一般的になったということなんでしょう、ね。
さて、どうやって決着を付けるのか。財務省も「このままでいい」と聞き流すわけにはいかないでしょう。何かしらの回答、というか言い訳を準備したほうがいいような気がします。
よもや「フォトショで加工して正版の顔を回転させちゃおう」なんて荒業は使わないでしょうし……。
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